「またAppleは迷走しているのか…?」
ここ数週間、テクノロジー界隈を賑わせていたのは、Appleが投入した「史上最薄」のiPhone Airに関する、やや辛口な評価でした。MiniやPlusがたどった道をなぞるように、「商業的に成功していない」という数々の報道は、多くのAppleファンに一抹の不安を与えていたはずです。
しかし、もし。 もし、その「売れていない」という現状こそが、Appleの計画通りだったとしたら?
ブルームバーグの敏腕アナリスト、マーク・ガーマン氏が投下した最新レポートは、私たちが抱いていた「常識」を覆す、衝撃的な内容でした。
iPhone Airの真の存在意義。そして、2026年から始まるiPhoneの「発売戦略」の根本的な変革。Appleが描くロードマップは、私たちの想像を遥かに超えた場所へ向かっているのかもしれません。
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1. 「失敗作」ではない? iPhone Airの“本当の役割”
まず、私たちの「予測のズレ」を正すところから始めましょう。ガーマン氏によれば、iPhone Airは「売る」ことが第一目的の製品ではない、というのです。
では、その真の目的は何か? それは、2026年に登場が噂される「iPhone Fold(折りたたみiPhone)」の“試作段階”としての役割です。
- サプライチェーンのテスト
最も薄い筐体を作るための技術、部品、製造ライン。これらはすべて、より複雑な「Fold」を量産するための壮大なリハーサルである、とガーマン氏は指摘します。 - 販売数は二の次
この視点に立てば、販売数が伸び悩んでいることなど、Appleにとっては「副次的な問題」に過ぎません。だからこそ、S26 Ultraなどと競合するようなアグレッシブな価格設定(安さ)にはしなかったのです。
私たちは「売上」という一面的な物差しでAirを見ていましたが、Appleは数年先、つまり「Fold」という本命を見据えていた、というわけです。

2. iPhone Air 2:期待すべきは「カメラ」ではなく「心臓部」
では、その「Air」の後継機、iPhone Air 2はどうなるのでしょうか。
ここでもガーマン氏は、世に出回る「デュアルカメラ搭載」という噂をキッパリと否定しています。彼によれば、Air 2の最大の進化(変化)はそこではありません。
Apple is reportedly delaying the iPhone Air 2 indefinitely due to poor sales 🚨
— Apple Hub (@theapplehub) November 10, 2025
The next iPhone Air was expected to launch in September 2026, however, that is no longer happening
Source: @theinformation pic.twitter.com/ozAZD7OZKw
iPhone Air 2の核心:
- Apple A20 チップセット搭載: これが本命です。プロセスルールは「2nm」に微細化され、焦点はパフォーマンス向上よりも「電力効率」に当てられます。
- 目的は「バッテリー寿命の延長」: 薄型筐体の最大の弱点であるバッテリー持ちを、チップの力で解決しようというアプローチです。
デュアルカメラのような派手な機能は、本家であるiPhone Foldが登場するまで、Airに搭載されることはない、とガーマン氏は予想しています。

3. 激震。iPhone 18は「2段階リリース」へ
そして今回、最大の「変化の知覚」がこれです。 2026年、Appleは長年続いた「9月一斉発売」の伝統を打ち破る可能性が濃厚となりました。
iPhone 18シリーズは、「秋」と「春」の2波に分けて発売される、とガーマン氏は断言しています。
iPhone 18シリーズ 発売スケジュール(予測)
- 第1波(2026年 9月):ハイエンド・ライン
- iPhone 18 Pro
- iPhone 18 Pro Max
- iPhone 18 Fold (ここで折りたたみがProラインとして合流!)
- 第2波(2027年 春):スタンダード・ライン
- iPhone 18 (ベースモデル)
- iPhone 18e (廉価版?)
- iPhone Air 2
これは、Airの販売不振による「テコ入れ」では断じてなく、当初から計画されていた戦略だといいます。
iPhone Airを「iPhone 17 Air」と呼ばなかった(=ナンバリングから外した)ことで、Appleは意図的に「1年半後」という変則的なリリーススケジュールを実現する自由度を手に入れたのです。

4. 2027年は、iPhone 20という「集大成」
この「段階的リリース」は数年続くと見られており、その先には、あの記念すべき2027年が待っています。
そう、初代iPhone登場から20周年。 Appleは、曲面ガラスとディスプレイ内蔵カメラ(ついにノッチも穴もなくなる)を備えた、新デザインの「iPhone 20」(仮称)をデビューさせると予想されています。
今回のブルームバーグのレポートは、単なるスペックのリークではありません。それは、AppleがiPhoneという製品ラインナップを、根本から再定義しようとしている「宣言」のように聞こえます。
「iPhone Airが売れていない」という表面的な事実に一喜一憂していた私たち(筆者も含め)ですが、その裏でAppleは、折りたたみ(Fold)という「次」と、Proとスタンダードを明確に分離する「新しい時間軸」を、着々と準備していました。
これまでの「毎年9月になれば、誰もが新型iPhoneの話題で持ちきりになる」という“お祭り”の風景は、2026年を境に変わるのかもしれません。
Pro/Foldユーザーは9月に熱狂し、スタンダード/Airユーザーは春を待つ。 私たちの「買い替えサイクル」や「予算計画」そのものが、このAppleの新しいリズムによって、否応なく再編成されていくことになりそうです。

