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Appleのタブレット戦略が大きな転換点を迎えている。
ラインナップの中で唯一液晶パネルを残していたiPad Airが、いよいよ来年初頭、OLED(有機EL)を搭載して登場する見込みだ。
この動き、単なる順当なスペックアップと片付けることはできない。不振にあえぐiPad Proの穴を埋めるための、Appleの切実なテコ入れ策という側面が非常に強い。
次期iPad Airは11インチと13インチの2サイズ展開。そのOLEDパネルの大部分を韓国のサムスンディスプレイが供給し、残りの一部を中国のBOEが担う供給体制になる。
サムスンはすでにiPhone Duoや一部のiPad mini、そしてMacBook Pro向けのOLEDも手掛けており、今回のAir向け受注によって、来年のAppleに対する最大のOLEDサプライヤーとしての地位を完全に固めた形だ。
ここで注目したいのは、採用されるパネルの仕様。
上位モデルのiPad Proが、高輝度・長寿命を実現する2層構造の「タンデムOLED」とLTPO技術を採用したのに対し、次期Airはよりシンプルな1層構造のシングルスタックOLED、そしてLTPSパネルに留まる。
製造コストを極力抑えつつ、OLEDならではの黒の締まりと鮮やかな発色だけをミドルクラスに落とし込む。そんなAppleの露骨とも言える差別化戦略が透けて見える。
背景にあるのは、iPad Proの深刻な販売低迷だ。
過去3年間、Proモデルは当初の出荷目標1000万台に遠く及ばず、2026年から2027年にかけての販売目標は300万台から400万台へと大幅に下方修正されている。
PC顔負けのスペックと引き換えに跳ね上がった価格が、一般消費者の財布の紐を固くしてしまったのは火を見るより明らかだ。
だからこそ、手頃な価格帯でOLEDの恩恵を享受できる次期Airは、タブレット選びに迷うユーザーの有力な受け皿となる。
高すぎるProの失速が結果的にAirの進化を促し、裏でサムスンの市場支配力をさらに盤石なものにするという皮肉な構図。
今後は、参入を狙う中国BOEがどこまで歩留まりを安定させ、コスト競争の波風を立てられるかが一つの焦点になる。
消費者が求めているのは、もはや持て余すほどのオーバースペックではない。日常のコンテンツ体験を確実に底上げしてくれる「手の届く革新」と「手の届く価格」だ。
Source:ZDNet

