記事の内容を音声で聞きたい方はこちら↓
NVIDIAのウルトラハイエンドGPU「GeForce RTX 5090」が、早くも市場から姿を消すかもしれない。 同社は販売終了を否定しているが、グラフィックボードの製造を担うパートナー企業に対する主要部品の供給が実質的にストップしている。 これは単なる品薄ではなく、製造の根本が揺らぐ異常事態だ。
事の発端は、ドイツの著名オーバークロッカーであり技術系ブロガーでもあるder8auer氏の報告。 彼の取材に対し、ある匿名メーカーは32GBのGDDR7メモリとBlackwell GB202 GPUキットの注文が不可能になったと明かした。 注目すべきは、単に入荷待ち状態になる「バックオーダー」すら受け付けられていないという事実。 過去の供給不足時にはとりあえず注文を入れて待つことができたが、現在はその道すら閉ざされている。
NVIDIA自身はRTX 5090の出荷継続を主張し、ジェフ・フィッシャー氏も生産中止を否定している。 だが、現場の動きは全く逆の様相を呈する。 別の冷却パーツサプライヤーによれば、メーカーからのRTX 5090用クーラーの受注が来年第1四半期に激減し、第2四半期に至ってはゼロになったという。 米国の直販サイトや大手小売店Micro Centerのリストからも姿を消しており、末端の在庫枯渇は火を見るより明らかだ。
独自の視点として指摘したいのは、AI特需に伴うデータセンター向けGPUへのリソース集中。 コンシューマー向けのフラッグシップであるRTX 5090は、チップの製造コストや歩留まりの観点から見ても、極めてニッチで利益率のバランスが難しい製品となる。 エンタープライズ向けのAIアクセラレータにBlackwellアーキテクチャの生産能力を全振りするため、コンシューマー最上位モデルの製造ラインを戦略的に絞り込んでいる可能性が高い。
現状、RTX 5090は事実上の「生産一時凍結」に近い状態にある。 NVIDIAが公式に販売終了をアナウンスしなくとも、部品が供給されなければ製品は世に出ない。 今後はごく少数の在庫がプレミアム価格で取引される異常な市場環境が予想され、極限の性能を求めるPCゲーマーやクリエイターにとって厳しい冬の時代はもう少し続きそうだ。


