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アップルがインテルへのチップ製造委託に踏み切ったのは、米国政府による100%の懲罰的関税という致命傷を避けるための、極めて政治的な防衛策です。新型iPhoneやMacの価格が倍近くに跳ね上がるリスクを前に、ティム・クックCEOが選んだのは、実利を取る「インテル抱き込み」のシナリオでした。
政府主導で救済されたインテルの国内ファウンドリを活用する見返りに、関税免除を勝ち取る。この一連の流れは、純粋な技術的パラダイムシフトではなく、地政学リスクが生んだ歪なディールと言えます。
しかし、この契約が即座に世界の半導体シェアを塗り替えるわけではありません。インテルが担うのは「18A-P」プロセスによるエントリー向けチップで、年間最大2000万個規模。これはアップル全体の需要から見ればごく一部に過ぎず、供給の9割以上は依然として台湾TSMCの最先端ラインがガッチリと握っています。
主力であるiPhone ProシリーズやハイエンドMac用のシリコンは、当面の間は台湾から動くことはありません。つまり、アップルはインテルを最先端のパートナーとしてではなく、政治的リスクを逃がすための「二流の保険」として割り切って使っているのが実情です。
業界内では、2028年の「A21」世代からインテルの次世代14Aプロセスへ本格移行するとの噂も囁かれています。これが現実味を帯びて初めて、インテルのファウンドリ事業はTSMCの真の競合へと脱皮するはずです。現時点でのインテル起用は、ホワイトハウスをなだめるための政治的ポーズに過ぎませんが、サプライチェーンの脱台湾・米国回帰への呼び水になるか、今後の14Aの立ち上がりに注目が集まります。
Source:WSJ


