記事の内容を音声で聞きたい方はこちら↓
マイクロソフトが繰り出した新しいSurfaceシリーズは、一般のユーザーにとって歓迎しがたい割り切りを迫るものとなった。個人向けモデルの選択肢をARMプロセッサ搭載版のみに絞り込み、高性能なインテル製チップや5Gといった魅力的なオプションをすべて法人向けに囲い込んだからだ。
この戦略は、過去の苦い教訓を無視している。2024年に投入されたSnapdragon X搭載の初代ARM版Surfaceは、アプリの互換性問題やドライバー不足の嵐に見舞われ、返品の山を築いた。法人顧客の不満を和らげるために急遽投入されたインテル(Lunar Lake)搭載モデルの方が、結果として完成度が高かったのは皮肉な事実だ。
それにもかかわらず、今回も個人にはARM版のみを押し付ける。一方で法人向けには、グラフィックス性能を飛躍的に高めたインテルの最新チップ(Panther Lake)や、ゲームもこなせるグラフィックス内蔵のCore Ultra Xを用意した。5Gモジュールや反射防止ディスプレイの選択肢も含め、本当に欲しいスペックがビジネスモデルにしか存在しない歪な状況が生じている。
一般ユーザーも法人向けモデルを直販などで購入できなくはない。しかし、値引きのない高価格に設定されており、現実的な選択肢とは言い難い。逆にARM版は市場での価格下落が予想されるため、インテル版の割高感だけが際立つ結果になる。
マイクロソフトがARM移行を本気で推進したいのであれば、ユーザーから選択の自由を奪うべきではない。強力なインテル版と並べて競わせ、市場の審判を仰ぐ潔さが必要だった。性能と互換性を求める一般のファンを置き去りにした独善的な囲い込みは、ブランドへの信頼を揺るがしかねない。

