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Oppoが欧州で静かに発売を開始した新型タブレット、Oppo Pad 5がガジェットファンの間で波紋を広げている。結論から言えば、このモデルは中国で先行発売された同名モデルの、実質的なダウングレード版だ。Dimensity 9400 Plusという最先端のチップセットを搭載しながら、なぜ肝心のユーザー体験に直結する部分を削ったのか。その不可解な戦略を読み解く必要がある。
最も大きな変更点は、バッテリーと充電速度。中国版では10,420mAhの大容量に67Wの急速充電という、タブレットとしては破格のスペックを誇っていた。しかし、欧州に上陸したモデルは10,050mAhへと容量を減らし、あろうことか充電速度は33Wにまで半減している。
昨今のスマートフォンが100W超えのスピードを競う中、フラッグシップ級を謳うタブレットで33Wというのは、あまりに控えめと言わざるを得ない。
ディスプレイについても、妥協の跡が隠せない。144Hzだったリフレッシュレートは120Hzに抑えられ、解像度も3,000×2,120から2,800×1,980へと一段階引き下げられた。画素密度も低下しており、大画面デバイスにとって重要な精細感が損なわれている事実は否定できない。最高輝度900nitを維持したことだけが、せめてもの救いだろうか。

一方で、SoCにはDimensity 9400 Plusという、Galaxy Tab S11シリーズにも採用される最高峰のチップを積んでいる。処理能力だけを見れば間違いなく一級品。それだけに、画面や充電といった五感に触れるスペックを削った判断が、製品としてのちぐはぐな印象を強めてしまう。
価格はスペインで399ユーロから。日本円に直せば約6万円台という設定を見れば、スペックを落としてでもコストを抑え、普及価格帯のライバルを叩く狙いがあるのは明白だ。
OppoはFind X9 Ultraなどの旗艦スマホを世界展開する一方で、タブレットに関しては市場ごとにドライな割り切りを見せている。日本市場への投入は現時点で不明だが、もし導入されるのであれば、このグローバル版のスペックが基準になる可能性が高い。
処理能力重視のゲーマーには魅力的な選択肢だが、トータルバランスを求めるユーザーには、今後の競合他社の出方を見極める忍耐が必要になりそうだ。

