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記録的な高騰を続けてきたDDR5メモリの価格が、ついに下落に転じた。ドイツや米国市場でその傾向が顕著だ。だが、喜ぶのは早計…。
これは一時的な需要の冷え込みに過ぎず、自作PC市場にはさらに過酷な冬が待ち受けている。
事の発端は、消費者の「許容限界」を超えた異常な価格設定にある。記憶に新しいのが、日本国内におけるAMD Radeon RX 9000シリーズの急騰と暴落劇。あまりの価格高騰に市場は完全に凍りつき、結果として1月のピーク時から最大20%もの価格下落を記録した。高すぎるハードウェアに対し、ユーザーが明確な「ノー」を突きつけた結果だ。
これと全く同じ現象が、ドイツのDDR5市場で起きている。主要な価格トラッカーを分析すると、PatriotやCrucial、Corsairといった人気メーカーのメモリキットが1月の最高値から目に見えて値下がりしている。
米国でも、Crucialの32GB DDR5-6400キットが約360ドルで推移するなど、昨年末の異常値と比較すればいくぶん落ち着きを取り戻しつつある。
日々、無数の価格アラートが設定され、少しでも安くなる瞬間をじっと待ち続ける。そんなユーザーたちの切実な購買行動を画面越しに幾度となく観測してきた私からすれば、今回の値下がりは一見、絶好の買い場に思える錯覚。しかし、背後のデータが示す現実はもっと残酷だ。現在のDRAM供給不足は、過去に繰り返されてきた単純な生産調整によるものではない。
需要と供給のバランスが根底から崩れ去った今、業界内ではこの枯渇状態が今後10年続くという悲観的なシナリオすら現実味を帯びている。一時的な需要の冷え込みによる値下げと、根本的な供給構造の改善は似て非なるもの。本当に恐れるべきは、現在のこの「少し下がった価格」が、数年後の「あの時が最安値だった」と語り継がれる未来なのだ。
安くなるタイミングを狙ってひたすら買い控える。その戦略はもはや通用しないフェーズに突入した…
Source:Tom’s Hardware

