スマホの通知が鳴り、画面に流れた一報を目にした瞬間、指先が冷たくなるのを感じた。
かつて「Never Settle(決して妥協しない)」と掲げ、既存の巨大メーカーに真っ向から勝負を挑んでいた、あのOnePlusが消えるかもしれない。
ガジェット好きなら誰もが一度は夢中になったブランドの終焉。それは、単なる一企業の撤退というニュース以上の重みを、私のような元開発者、そして一人のユーザーに突きつけている。
Source:Android Headlines
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牙城が崩れる音が聞こえた
スマートフォンの歴史を振り返れば、LGが去り、つい先日もASUSがスマートフォン市場からの事実上の撤退を表明したばかりだ。
そして今、その波はOppo傘下の看板ブランドであるOnePlusにまで押し寄せている。
報じられた内容はあまりに生々しい。売上の急落、開発コストの増大。そして何より、巨大なAppleやSamsungという壁を前に、小規模ブランドが生き残る余地が、この2026年の市場にはもう残されていないことを物語っている。
振り返れば、OnePlusは「安くて最強」という、ユーザーの夢を形にしたような存在だった。
独自の質感を持つサンドストーンの背面。爆速で動くOxygenOS。あの頃の熱狂を知る者にとって、今の沈みゆく姿を見るのは、旧友が静かに去っていくような寂しさがある。
数字が語る残酷すぎる現実

感情を抜きにして、冷徹にデータを見つめてみよう。OnePlusを襲っているのは、一時的な不調などではない。
主要市場である中国とインドでのシェアは、もはや無視できるほどに縮小している。小売業者は「利益が出ない」という理由で、デジタル上の棚から次々とOnePlusを排除しているのが現状だ。
以下の表は、直近のブランド動向をまとめたものだ。
| 項目 | 状況とデータ(2024年〜2026年) |
| グローバル販売台数 | 2024年に20%減(約1,400万台まで落ち込み) |
| 中国市場シェア | わずか 1.6% |
| インド市場シェア | 3.9% |
| 米国拠点の現状 | 従業員15人未満まで縮小 |
| 欧州チームの現状 | 60人以上から10人程度へ大幅削減 |
かつての勢いはどこへ行ったのか。米国本社が15人未満という数字は、もはやブランドとして機能していると言えるのか、疑問を抱かざるを得ない。
なぜあんなに愛されたブランドが死にゆくのか

ここで一つ、多くの人が見落としている視点を提示したい。OnePlusがダメになったのは、製品の質が落ちたからではない。
むしろ「個性を奪われた」ことこそが、最大の敗因だと私は考えている。
数年前、Oppoとの統合が進む中で、OnePlus特有の尖ったソフトウェアは、親会社のColorOSに飲み込まれていった。
「中身はOppo、名前はOnePlus」
そんな中途半端な立ち位置が、コアなファンを失望させたのではないか。効率化のために個性を捨てた結果、どこにでもある「普通のスマホ」になり、価格競争の渦に巻き込まれて消えていく。
これは、効率を追求しすぎる現代の企業戦略が招いた、悲劇的な「自業自得」の側面もあるのだ。



