このニュースを目にした瞬間、「現行のPlayStation Portal」が、急に色あせて見えてしまった。ジェットを愛する者なら誰もが知っている、あの胸の痛みだ。
「買ったばかりなのに」
「もう少し待てばよかったのか?」
そんな後悔と、新しいテクノロジーへの抗えない興奮。相反する2つの感情がないまぜになり、深夜にもかかわらず海外のリーク情報をあさり続けてしまった。そんなマニアックな人も少なく無いだろう。
2026年。私たちのゲームライフは劇的に変わりつつある。その中心にいるのが、この奇妙で愛すべきデバイスだ。今回は、飛び込んできた「PS Portal OLED化」の噂について、単なるスペック解説ではない話をしようと思う。
Rumour PlayStation Portal To Recieve Model Refresh With OLED Screen!
— @Zuby_Tech (@Zuby_Tech) January 10, 2026
Display Could Have 120Hz!#PlayStationPortal #PSP #PlayStation pic.twitter.com/9fr3Qs3I1Q
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噂の核心 描画性能の劇的な進化
情報源はX(旧Twitter)で実績のあるリークアカウント、Zuby_Tech。彼がシェアした内容によると、ソニーはPlayStation Portalのハードウェア刷新を計画しているという。
注目すべきポイントは2つ。
OLED(有機EL)ディスプレイの搭載と、120Hzリフレッシュレートへの対応だ。現行モデルを使っていて、大きな不満があるわけではない。
液晶も十分に美しいし、環境さえ整えば遅延も気にならない。しかし、人間というのは業が深い生き物だ。一度「上」を知ってしまうと、もう戻れない。
もし本当にOLEDが搭載されるなら、それは単なるマイナーチェンジとは言えない。体験の質が、根本から覆ることを意味する。
なぜOLEDなのか

OLEDの真骨頂は「黒」の表現力にある。バックライトで全体を照らす液晶とは違い、画素そのものが発光・消灯する。
つまり、暗闇のシーンは、文字通り「完全な闇」になるのだ。バイオハザードの湿った回廊。デッドスペースの無限に広がる宇宙。これらが、手のひらの上でPS5本機と変わらない、いや、それ以上のコントラストで再現されるとしたら。
想像するだけで指先が震える。
液晶特有の「白浮きした黒」から解放されたとき、私たちは初めて製作者が意図した「本当の色」を目撃することになるだろう。
120Hzという「甘い罠」

さらに衝撃的なのが、120Hz対応という噂だ。現行機は60Hz。
これが倍になるということは、理論上、映像の滑らかさが格段に向上する。FPSやハイスピードなアクションゲームを嗜むプレイヤーにとって、120Hzは聖域だ。
敵の動きが視認しやすくなり、エイムの精度が上がる。これを携帯機で実現しようというのだから、ソニーの本気度には恐れ入る。
しかし、ここでふと冷静になる自分がいる。
「ストリーミングで120Hzは、本当に幸せになれるのか?」
技術的なハードルは、エベレストよりも高い。ご存知の通り、PS PortalはWi-Fi経由で映像を受信するデバイス。60fpsの映像を飛ばすのでさえ、家庭内のネットワーク環境によってはブロックノイズが走るのが現状だ。
それを120fpsにする?
データ量は単純計算で倍。これを受け止めるには、送信側のPS5だけでなく、ルーター、そしてPortal側の受信チップすべてが最高品質である必要がある。
もし環境が追いつかなければ、120Hz対応は単なる「カタログスペックの飾り」になりかねない。コマ落ちは減るかもしれないが、操作してから画面が反応するまでのラグが増えては本末転倒だ。
この懸念については後述するが、手放しで喜ぶにはまだ早い。それが現場でガジェットを見続けてきた私の、偽らざる本音だ。
現行機と新型(噂)のスペック比較

頭の中を整理するために、現状のリーク情報と現行機を比較してみよう。もちろん新型のスペックは確定ではないが、リークに基づいた予想図を描いてみる。
| 特徴 | 現行 PlayStation Portal | 新型 Portal Pro (仮称/噂) | ユーザーへの影響 |
| ディスプレイ | 8インチ LCD (液晶) | OLED (有機EL) | 色彩の深み、黒の締まりが劇的向上。没入感が段違いに。 |
| リフレッシュレート | 60Hz | 120Hz | 映像の滑らかさが倍増。ただし通信環境への負荷も増大する恐れあり。 |
| クラウド機能 | アップデートで対応 | 標準対応の可能性大 | PS5本体を持っていなくても遊べる「完全な携帯機」への進化。 |
| 価格 | 約29,980円 (発売時) | 価格上昇の可能性 | 部材コスト増により、3万円台後半〜4万円台も覚悟が必要か。 |
こうして見ると、やはりディスプレイ周りの進化が際立つ。だが、表には現れない重要な要素がある。
それが「クラウドストリーミング」との共犯関係だ。
ソニーが描く「本体不要」の未来図

今回の噂で私が最も注目しているのは、ハードウェアそのものではない。
「タイミング」だ。
ソニーは最近、PlayStation Plusプレミアム会員向けにクラウドストリーミングのネイティブサポートを追加した。
これは革命的な変化だった。
自宅のPS5がスリープ状態だろうが、コンセントが抜けていようが関係ない。ソニーのサーバーから直接ゲームをPortalに届けることができるようになったのだ。
つまり、PS Portalは「PS5の周辺機器」という殻を破り、「独立したクラウドゲーム機」へと羽化しようとしている。
このタイミングでのOLEDモデル投入。
点と点が線でつながる感覚。外出先のカフェやホテルで、PS5を持っていなくても、最高画質のゲームを有機ELの美しい画面で楽しむ。そんなライフスタイルを定着させようという、ソニーの野心が見え隠れする。
これまでのPortalは「寝室で遊ぶためのサブ機」だった。新型は「どこでも遊べるメイン機」になり得るポテンシャルを秘めている。

読者が陥る「スペックの信仰」
ここで、少し意地悪な視点を提供したい。多くのテック系メディアは「OLED最高!」「120Hzすごい!」と書き立てるだろう。
だが、あえて水を差す。
「その120Hz、あなたの目とWi-Fiで本当に活かせるのか?」
ストリーミングゲームにおける最大の敵は、画質ではなく「遅延」と「安定性」だ。120Hzで描画するには、極めて高速かつ安定した通信が不可欠。
もし自宅のWi-Fiルーターが数年前のものであったり、家族全員がYouTubeを見ていたりする環境なら、120Hz設定はむしろ遅延の原因になる。
ヌルヌル動くが、ボタンを押してからワンテンポ遅れる。そんなストレスフルな体験に、高い金を払うことになるかもしれない。
さらに、バッテリーの問題。
OLEDは黒の表示で省電力になるとはいえ、高リフレッシュレートは大食らいだ。現行機でさえ「もう少し持ってくれれば」と思うことがあるのに、120Hzで駆動させたらどうなるか。
「Pro」の名を冠するなら、バッテリー容量の増大は必須。
それがなければ、常に充電ケーブルに繋がれた「有線携帯機」に逆戻りだからだ。

