スマートフォンの進化は、どこまで行けば止まるのでしょうか。 「画面を折りたたむなんてギミックだ」と笑われていた時代が懐かしくなるほど、今や街中でフォルダブルスマホを見かけることは珍しくなくなりました。しかし、人間の欲望というのは底なしです。二つ折りが日常になれば、次は「三つ折り」を求め始める。
2025年の暮れを迎えている現在、SamsungやHuaweiがすでに三つ折り市場に参入していますが、ここに来てXiaomiが不気味な沈黙を破ろうとしています。新たに浮上した「Mix TriFold」という存在。それは単なる後追いなのか、それとも市場のルールを書き換えるゲームチェンジャーなのか。
今回は、リークされたIMEIデータベースの情報と、過去の特許情報から見えてくるXiaomiの次なる一手について、競合他社との比較を交えながら深掘りしていきます。もしかすると、私たちが今持っているスマホの常識は、来年の夏に再び覆されるかもしれません。
Source:XiaomiTime
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謎の型番「2608BPX34C」が示す2026年の未来
GSMAのIMEIデータベースに突如として現れた「2608BPX34C」という文字列。これこそが、Xiaomiが水面下で開発を進めている三つ折りスマートフォンの存在を裏付ける決定的な証拠です。

ガジェット界隈の通例として、型番の数字には意味が込められています。冒頭の「2608」は「2026年8月」を示唆していると読み解くのが自然でしょう。つまり、来年の夏、Xiaomiは中国国内市場に向けて、同社初となる三つ折りデバイスを投入する準備を進めているのです。
ここで面白いのが、このデバイスが既存の「Mix Fold」シリーズの単なる延長線上にあるわけではないという点です。Xiaomiはこれとは別に、Mix Fold 4の正統後継機となる「Xiaomi 17 Fold」も準備していると噂されています。
つまり、Xiaomiは「通常の折りたたみ」と「三つ折り」の二刀流で、2026年のモバイル市場を攻めるつもりなのです。

画面がない?物議を醸す「カバーディスプレイ廃止」の噂
Xiaomiの三つ折りスマホに関して、最も議論を呼んでいるのがそのデザインです。 1年以上前に取得された特許情報によると、Xiaomiが構想していた三つ折りデバイスには、なんと「カバーディスプレイ(外画面)」が存在しませんでした。
今の常識で考えれば、閉じた状態で操作できないスマホなどあり得ません。通知を見るためだけに、毎回パタパタと三面鏡のようにデバイスを開くなんて、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する現代人にとっては苦行でしかないでしょう。
しかし、ここで視点を少し変えてみましょう。もしXiaomiが、Galaxy Z TriFoldやHuawei Mate XTといった先行機種との差別化を図るために、あえて「開いて使うこと」に特化したデバイスを作ろうとしているとしたら? カバーディスプレイを排除すれば、その分だけコストを下げ、薄型化を突き詰めることができます。
Xiaomiなら「スマホではなく、折りたためるタブレット」として割り切った提案をしてくる可能性もゼロではありません。もちろん、これが単なる初期のアイデアで、製品版では常識的な構成になる可能性の方が高いですが、この「予測とのズレ」こそがXiaomi製品を見る面白さでもあります。

HuaweiやSamsungとの違いは「価格」と「戦略」にあり
現在、三つ折りスマホ市場は、先行するHuaweiと、Galaxy Z Fold7の派生として登場したSamsungのGalaxy Z TriFoldが牽引しています。特にSamsungのモデルは1,809ドル(約27万円前後)と非常に高価で、一般ユーザーには高嶺の花です。
ここでXiaomiが参入する意義は、「価格破壊」にあります。 Xiaomiはこれまでも、ハイエンドな機能を搭載しながらも競合より一段安い価格設定でシェアを奪ってきました。もしMix TriFoldが、Snapdragonの最新チップを搭載しつつ、SamsungやHuaweiよりも圧倒的に安い価格で登場すれば、三つ折りスマホは一部の富裕層向けの玩具から、実用的な選択肢へと変化するでしょう。
また、CPUにはSnapdragon 8 Eliteの後継、あるいはリークにあるようにミッドハイレンジのチップをあえて採用してコストバランスを取る可能性もあります。モトローラなどが採用している「普及価格帯の折りたたみ」という戦略を、Xiaomiが三つ折りジャンルで展開するならば、それは市場にとって大きな衝撃となるはずです。
2026年、スマホは「持つ」から「広げる」時代へ
2026年の夏に発売が予想されるこのデバイスは、単なる新製品以上の意味を持っています。 それは、私たちがスマートフォンに求める「画面サイズ」の定義が変わる瞬間かもしれません。
電車の中で文庫本を読むようにスマホを広げ、カフェではラップトップのように展開する。そんな光景が、Mix TriFoldによって加速する。
もちろん、耐久性やバッテリー持ち、そして日本国内での発売があるのか(型番の末尾Cは中国版を示唆していますが、グローバル展開の可能性も残されています)など、懸念点は尽きません。しかし、変化を恐れないXiaomiの姿勢は、停滞気味なスマホ市場に強烈な一石を投じることになるでしょう。

