正直なところ、私たちはAppleに少し甘すぎたのかもしれません。「Appleが出すものなら間違いない」という神話。しかし、今回リークされた「iPhone Fold」の価格を見た瞬間、その信仰心が試されているような気がしました。
長年噂されてきたApple初の折りたたみスマホですが、最新のアナリストレポートによると、その価格はなんと約2,399ドル。日本円にして現在のレートで単純計算しても36万円〜37万円を超えてくる計算です。これは、競合となるSamsungのGalaxy Fold7よりも400ドル(約6万円)も高い設定です。
なぜAppleは、後発でありながらこれほど強気な価格設定に出たのでしょうか?そして、私たちユーザーはこの「家賃数ヶ月分」のデバイスに、それだけの価値を見出せるのでしょうか。

iPhone FoldはなぜGalaxyより高い?価格差の正体とは
まず、誰もが抱く疑問。「なぜそんなに高いのか」です。
Galaxy Foldシリーズが登場してから既に6年。市場には安価で高品質な折りたたみスマホも増えています。そんな中でAppleが提示する「プラス400ドル」の根拠は、どうやら「素材」と「ヒンジ」にあるようです。
レポートによると、iPhone Foldにはチタンとアルミニウムを組み合わせた高級素材が採用され、ヒンジ(折りたたみ部分)とディスプレイアセンブリには、折り目が「ほとんど見えない」レベルの特殊な高コストパーツが使われるとのこと。
確かに、既存の折りたたみスマホの最大の弱点は画面中央の「シワ」でした。もしAppleがこの物理的な課題を完全に解決し、開いた瞬間に「一枚の板」に見える魔法を見せてくれるなら、そこには確かに技術的な対価が含まれているのかもしれません。

スペックから見る「買い」の判断基準
では、中身はどうでしょうか。予想される仕様を見てみると、Appleの本気と妥協が入り混じった奇妙なバランスが見えてきます。
- 心臓部
最新のA20 SoCを搭載予定。処理能力は間違いなくモンスター級です。 - 画面サイズ
外側5.5インチ、内側7.8インチ。iPad miniを持ち歩く感覚に近そうです。 - カメラ
ここが議論の的になりそうです。広角と超広角のみで、望遠レンズがないという情報があります。
2,400ドルのデバイスで望遠レンズが省略されるというのは、カメラ性能を重視する最近の「推し活」界隈や写真愛好家にとっては、かなり痛いポイントではないでしょうか。「Pro」モデルを2台買える値段で、機能が一部制限されているように感じるこのズレ。
ここにAppleの「折りたたみ」に対する独特な哲学、あるいはコストカットの苦肉の策が見え隠れします。

Appleの焦りとAI戦略の遅れ
ここで少し視点を変えて、Appleが置かれている状況を見てみましょう。
かつてはイノベーションの象徴だったAppleですが、最近は生成AIの分野でGoogleやOpenAIに遅れをとっていると指摘され、社内でも危機感が募っていると噂されています。
ソフトウェア面での「恥ずべき状況」を挽回するための起爆剤として、このiPhone Foldが位置付けられている可能性は高いです。
しかし、ハードウェアが美しくても、それを活かすソフトウェア(iOS)が折りたたみ画面に最適化されていなければ、ただの「曲がるiPhone」で終わってしまいます。
Galaxy Fold7は長年の蓄積でマルチタスク機能が非常に洗練されています。Appleが初手でその完成度を超えられるのか。それとも、「Apple Intelligence」がそのギャップを埋めてくれるのか。ここが最大の比較検討ポイントになるでしょう。

