「クリーンなAndroid体験」と「透明性」。それこそが、多くの熱心なファンがNothingに魅了されてきた理由のはずでした。しかし、その信頼関係を根底から揺るがすようなアップデートが、今、静かにテストされています。
Nothing OS 4.0(Android 16ベータ版)の最新アップデートで発見された新機能「Lock Glimpse」。その甘美な響きとは裏腹に、実態は「ロック画面広告」そのものだったのです。
なぜNothingが? これは一時的な迷走なのか、それとも方針転換の始まりなのか。現在判明している情報と、ユーザーが抱くべき当然の懸念を整理します。
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「Lock Glimpse」の正体 — 魅力的なコンテンツという名の広告
スマートフォンにおいて、ユーザーが最も目にする場所「ロック画面」。ここに広告を挿入するという手法は、これまで主に安価なデバイスで見られる「コストカットの代償」と見なされてきました。Nothingは、その対極にいるブランドだと信じられていたのですが。
今週リリースされたNothing OS 4.0ベータ版で、この「Lock Glimpse」が実装されました。
一見すると、ディスプレイをオンにするたびに切り替わる美しい壁紙コレクションのように見えます。しかし、その実態は大きく異なります。Twitter(@AnshuTechblog氏)で共有された動作報告によれば、これらの壁紙には「埋め込みリンク」が含まれているのです。
例えば、壁紙の下部には「自家製ストロベリーアイスクリームのレシピ」といった誘い文句が表示されます。これを選択すると、「魅力的なコンテンツ」と説明された記事ページへと誘導されます。つまり、これは壁紙スライドショーではなく、コンテンツ(実質的には広告)への誘導リンクが組み込まれた、巧妙な広告プラットフォームなのです。
Oh Nothing, What were you thinking?
— Anshu (@AnshuTechblog) October 24, 2025
So, You can now install NOS4 on your 3a & 3a Pro BUT –
🟥 Lock Glimpse (AKA – ADS)
Why just why, there was no need to add these lockscreen ads to your "Clean UI focused software" & you are even highlighting it? Bro?💔 pic.twitter.com/4zQOyddzPP
デフォルト無効でも拭えない「なぜ今?」という疑問
この機能が、Motorolaなどの端末に搭載されている「Glance」広告プラットフォームを彷彿とさせる、と指摘する声は少なくありません。
さらに鋭いRedditユーザーの調査により、この機能の設定画面には「Bouyan」という企業名が記載されていることが判明しました。Bouyanは中国のデジタル広告プラットフォームであり、Glanceとほぼ同様の仕組みで運営されていると見られています。
もちろん、擁護できる点もあります。最大の救いは、現在のベータ版において、このLock Glimpse機能が「デフォルトで無効」に設定されていることです。ユーザーが自ら設定を掘り起こしてオンにしない限り、広告が表示されることはありません。

しかし、問題はそこではありません。
「なぜ、わざわざこの機能をOSに組み込む必要があったのか?」
これこそが、Nothingのコアなファンが抱く最大の疑問です。「クリーンなビルド」を何よりも優先してきたはずの企業が、ファンを苛立たせることが分かりきっている広告機能を、たとえ無効であってもOSの奥深くに埋め込む。この行動自体が、ブランドの哲学と真っ向から矛盾しています。
率直に言って、これは将来的に「デフォルトで有効」にするための布石ではないか、という疑念を抱かせるには十分すぎる動きです。
AI生成疑惑の画像と「チープな体験」の予兆
さらに懸念されるのは、その「質」です。
報告されている壁紙画像の中には、SF的な風景写真など、明らかにコンピューターで生成されたと思われるものが含まれています。前述のアイスクリームの例に至っては、リンク先の「ストロベリーアイスクリーム」とは裏腹に、画像ではどう見ても「ラズベリー」が使われているというお粗末さ。
これらのAI生成が疑われる質の低い画像が、ユーザー体験を豊かにするどころか、むしろ「チープな広告」を見せられている感覚を強めています。

まとめ
運が良ければ、今回のベータテストで巻き起こったユーザーからの反発がNothing本社に届き、「Lock Glimpse」機能は最終ビルドから完全に削除されるかもしれません。私たちはそれを強く期待すべきです。
Nothingは、「普通のスマホ」に飽き足らないユーザーに対し、デザインと体験の両面で「代替案」を提示し続けてきました。その核にあったのは、余計なアプリや広告のない、純粋な使用感だったはずです。
たとえ「デフォルト無効」というエクスキューズがあったとしても、ロック画面に広告の種を植え付けるという今回の決定は、ブランドが築き上げてきた信頼を自ら毀損する行為と言わざるを得ません。冒頭文章
「クリーンなAndroid体験」と「透明性」。それこそが、多くの熱心なファンがNothingに魅了されてきた理由のはずでした。しかし、その信頼関係を根底から揺るがすようなアップデートが、今、静かにテストされています。
Nothing OS 4.0(Android 16ベータ版)の最新アップデートで発見された新機能「Lock Glimpse」。その甘美な響きとは裏腹に、実態は「ロック画面広告」そのものだったのです。
なぜNothingが? これは一時的な迷走なのか、それとも方針転換の始まりなのか。現在判明している情報と、ユーザーが抱くべき当然の懸念を整理します。

