本記事のポイント
- 楽天モバイルとAST SpaceMobileが、衛星を使ったスマホ同士の音声通話試験に成功。
- 低遅延で高速通信ができるため、山岳地帯や離島などでの提供が可能。
- 楽天モバイルは今後、国内で通信試験と事前検証を開始予定。
スペースモバイルとは
楽天モバイルと米AST SpaceMobileが、低軌道衛星を使ったモバイル向け通信ネットワークの市販スマートフォン同士の音声通話試験に成功しました。この試験は、ASTが構築するモバイル・ブロードバンド通信を市販スマートフォンと直接通信できるようにすることを目的としています。
ASTが構築する低軌道衛星(LEO)は、地球の周りを数百km程度の高度で周回する軌道にあるため、通信遅延が少なく、高速で通信ができます。
このため、山岳地帯や離島などでの通信サービスの提供が可能になり、災害時にも通信サービスを提供できます。また、このシステムは、今後の5Gの展開にも貢献することが期待されています。
ASTの「SpaceMobile(スペースモバイル)」プロジェクトは、市販されているスマートフォンで音声通話やウェブブラウジングなどのブロードバンド通信ができるようにすることを目指しています。
このプロジェクトには、世界中35社以上の通信事業者が協力しており、ASTは、世界中でモバイル・ブロードバンドを提供する計画を進めています。
スペースモバイルが通信実験!その結果は?
今回の試験では、米国テキサス州ミッドランドのASTのCEOと日本・東京の楽天モバイルのエンジニアが市販スマートフォンを使用して音声通話を実現しました。
ASTは、試験衛星「BlueWalker3(ブルーウォーカー3)」と特許取得済みのシステムとアーキテクチャを利用し、米AT&Tの周波数を使用して音声通話を行いました。
この結果、地球低軌道に展開した史上最大規模の商用通信アレイの強度を実証し、宇宙ベースのモバイル・ブロードバンドを世界規模で提供する道を切り開く第一歩となりました。
日本国内では、楽天モバイルが2022年11月に実験試験局免許の予備免許を取得し、今後、実験試験局本免許の付与を受け準備が整い次第、国内で通信試験と事前検証を開始する予定です。ASTは、2024年第1四半期に予定されている5機の衛星「Block1 BlueBird(ブロック1・ブルーバード)」の打ち上げと、試験衛星「BlueWalker 3」の追加機能の試験を継続して実施していく予定です。
ということみたいですが・・・めちゃくちゃ簡単にいうと、低軌道衛星を使って市販されているスマホ同士で、通話をする事に成功したとのこと。
さらにコレは、衛星通信用にカスタムされたスマホではない!というところがとても現実味がある結果となりました。
今までの衛星電話との違い
従来の衛星電話
人工衛星と地上の端末との間で安定的に通信するには、専用周波数帯が必要です。
特に、地上の端末から人工衛星に上り通信を行う場合には、通信品質を確保するために専用周波数帯が欠かせません。また、端末側アンテナも適切なサイズが必要です。
しかし、現状では、スマートフォンなどの市販端末では、専用周波数帯に対応していないため、衛星通信サービスを利用するには専用端末を使用する必要があります。このため、専用端末の普及が進むまでは、衛星通信サービスの普及にはハードルがあるといえます。
それにとても弱点とされているのが、衛星電話は野外で使用をすることを目的とされています。衛星電話と人工衛星との間に遮るものがあると、電波を発信することができないからです。
スペースモバイル(楽天スターリンク)
スペースモバイルとは、従来の衛星通信網とは異なり専用端末を使用することなく、楽天モバイルに割当てられた虎のこの1.7MHz帯を使用することで、ユーザー同士の通話やネットワーク通信を行えるものとなっています。
ようは、地上にあった携帯基地局をSpaceX社のロケットで、750Kmの上空にぶち上げて、3000kmの範囲で4G / 5G通信を可能にし、さらには、専用端末を使わず従来のスマホでの使用を可能にしたわけです。
あのスターリンクでさえ専用端末が必要な状況なのに、従来の周波帯を使ってスマホで衛星と4G通信なんて
「絶対無理wwwwワロタwwwww」
と周りから笑われていましたが、ASTの出資に世界最大の通信事業社である、AT&Tが参戦したことで強烈なブーストが掛かり、今回の実験成功まで至った訳です。
周波数帯 | キャリア | ||||
4G (LTE) | 2GHz | ドコモ | au(KDDI) | ソフトバンク | |
1.7GHz | ドコモ | au(KDDI) | ソフトバンク | 楽天 | |
900MHz | ソフトバンク | ||||
1.5GHz | au(KDDI) | ソフトバンク | |||
800MHz | au(KDDI) | 楽天(auローミング) | |||
800MHz | ドコモ | ||||
1.5GHz | ドコモ | ||||
800MHz | au(KDDI) | 楽天(auローミング) | |||
700MHz | ドコモ | au(KDDI) | ソフトバンク | ||
3.5GHz | ドコモ | au(KDDI) | ソフトバンク |
ちなみに、この表を見てわかるように、楽天モバイルはプラチナバンドを持たない状態です。
今秋には700MHz帯の残りカス部分を割当てられるかもしれませんが、それでは全然安心はできないと思いますので、今回の実験結果は「絵に描いた餅」と、周りから揶揄された状況に、光明が見えたのではないのかと思われます。
まとめ
今度スペースモバイルは音声通話だけでなく、Webブラウジングなどのブロードバンド通信も市販のスマホで行えるように、さらなる実験を行う予定です。
これが実装されれば、新たな通信方式が確立されて、我々の環境にも大きく影響されると予想されます。
これでどこでも繋がるという事がウリにはなると思いますが、そもそも楽天モバイルは外ではフツーに繋がりますし、契約して数ヶ月使ってますが困った事はありません。むしろ無制限で使えるのでありがたいと思っています。
しかし!本当に我々が求めているのは、建物の奥や障害物の多い場所でも、問題なく繋がることであって、エリアのカバーを求めているという事では無いということを、楽天には理解して頂きたいところである。
とはいえ、近年評価がダダ下がりの楽天モバイルにとっては、この実験結果は非常に良い追い風となることは間違いないでしょう。