任天堂ハードでロスサントスを駆け巡る夢は、再び閉ざされた。
米Take-Two Interactiveが、有志の手で進められていたNintendo Switch向け非公式『グランド・セフト・オートV(GTA5)』の開発者に対し、プロジェクトの即時停止を求める警告書を送付。これを受け、開発プロジェクトは完全に中止となった。流出コードを用いたとはいえ、実機ネイティブ動作に挑んだ技術的試みは、巨大パブリッシャーの厳格な知財防衛の前にあっけなく幕を下ろした形だ。
開発を主導していたのは、Paralympics ProductionsのM0jso氏。2023年にネット上へ流出したソースコードをベースに、クラウドやエミュレーションを介さず、Switchのチップ上で直接演算させるネイティブ移植を試みていた。動作にはカスタムファームウェア導入済みの改造本体が必要で、オーバークロックなしではフレームレートが30fpsを大きく下回るなど課題も山積みだったが、Switchの限られたリソース上でロスサントスの街が実際に描画された衝撃は小さくなかった。
Paralympics Productions is shutting down on October 3rd. Thank you everyone who supported us through tough times and lenghty development. I am sorry for not fulfilling your expectations and leaving you high and dry. I am thankful for take two's mercy so this is the definitive end
— Mojso (@M0jso) September 28, 2026
だが、著作権侵害に対するTake-Twoの姿勢は容赦ない。過去にもMODコミュニティやリーク発信者に対して強硬な法的措置を講じてきた同社だけに、開発者側も全面訴訟のリスクを冒してまでコード公開を強行する道は選べず、グループ自体の解散を決断せざるを得なかった。
今回の騒動が浮き彫りにしたのは、旧世代機タイトルのSwitch移植を渇望するファンの熱量と、Rockstar Gamesのシビアなビジネス判断との深い溝だ。『GTA5』はもともとPlayStation 3やXbox 360で登場したタイトルであり、ハードウェアスペックの観点だけで言えば、現行Switchへの移植は技術的に不可能ではないはずだ。
それでも公式移植が実現しない背景には、ARMアーキテクチャへのエンジン最適化コストや、莫大な利益を生み出す『GTAオンライン』の運営基盤をどう維持するかという商業的判断がある。現在Switch向けに公式提供されているのは旧作3部作の決定版のみ。開発リソースをPlayStation 5などの主力市場と、佳境を迎える『GTA6』へ集中させる同社にとって、Switch市場は採算が見合いにくい領域と映っているに違いない。
非公式プロジェクトの終焉は、権利保護の観点からは妥当な結末と言わざるを得ない。しかし、携帯機で本格的なオープンワールドを求める需要の大きさもまた、今回の出来事で改めて証明された。ファンの視線は早くも次世代機「Switch 2(仮称)」へと向かうが、次世代機であってもスタジオがリソースを割く保証はない。任天堂ハードで最新のクライムアクションを自由に遊べる日は、依然として遠い先の話になりそうだ。

