Valveが詳細を発表した新型VRヘッドセット「Steam Frame」。待望のハイスペック機に世界中のゲーマーが沸き立つ一方で、先行レビューからは購入のブレーキになりかねない致命的な弱点が露呈した。看板タイトル『Half-Life: Alyx』を単体でプレイした場合、わずか1時間未満で電源が落ちるという厳然たる事実だ。
各メディアの検証結果はシビアだ。Linus Tech Tipsのテストによると、負荷の軽い2D投影型VRゲームですら1時間43分でバッテリー切れを警告される。リフレッシュレート144Hzで『Half-Life: Alyx』を起動したスタンドアロンモードに至っては、内蔵された21.6Whバッテリーの寿命は約55分。1時間すら持たない。Tom’s Hardwareによる72Hz駆動の検証でも結果はほぼ同じで、稼働時間は約60分にとどまった。
救世主と目されたPCストリーミング機能も、根本的な解決には至っていない。付属のWi-Fi 6Eドングルで処理負荷をPC側へ逃がしても、144Hzでのデスクトップ版Alyxは1時間36分で画面が暗転。フレームレートを落としてようやく2時間前後のプレイ時間を確保できる程度だ。さらに手痛いのが充電の遅さで、空の状態からフル充電まで3時間以上を要する。遊んだ時間の倍以上待たされる計算になる。
完全ワイヤレスの開放感とPC級のハイエンド描画を両立させようとした結果、現行のバッテリー技術がマシンの野心に追いついていない。Meta Questシリーズなど既存の競合機も2時間前後が実用ラインだが、性能を極限まで引き上げたSteam Frameは、そのわずかな稼働時間すら削り落とした格好だ。
ケーブルから解放された快適さを味わうには、現状、首元にモバイルバッテリーを繋ぐ運用が欠かせない。Valveはマグネット着脱式バッテリーを含む「Enthusiast Kit」を計画しているとされるが、発売時期は不透明なままだ。ハードの基礎体力が極めて高いだけに、この電源周りのアキレス腱を周辺機器や追加アクセサリーでいかに素早く補えるかが、普及の成否を分けることになる。

