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POCOが異例の早さで最新フラッグシップ「F9 Ultra」および「F9 Pro」を市場に投入した。
今回のニュースが持つ最大の意味は、185Hz駆動の有機ELや2億画素カメラといった暴力的なスペックそのものではない。次世代チップの発表を目前に控えたこのタイミングで、あえて現行のSnapdragon 8 Elite Gen 5を据え置きで搭載してきた点にある。そこには、昨今のコンポーネント価格高騰に対するしたたかな戦略が透けて見える。
F9シリーズは、中国で先行発表されたRedmi K100 Pro MaxとK100 Proのグローバル版という立ち位置。例年のサイクルを約3ヶ月前倒しし、9月1日に発売された。今月下旬に迫るQualcommの次世代フラッグシップチップ発表を完全にスルーする格好だ。

一見すると不可解なこのスケジュール変更だが、狙いは極めて現実的。既存プラットフォームを継続採用することで、深刻化するメモリ不足の中でも端末価格を抑え込むことにある。特に恩恵を受けたのがF9 Proだ。旧型チップに甘んじていた前作F8 Proの悔しさを晴らすように、今回はUltraと全く同じ心臓部を獲得。モデル間の性能格差を一気に縮めた。
性能面はまさに化物の領域。最大185FPSを描き出す専用グラフィックチップ「VisionBoost D8」を搭載し、ディスプレイはフルRGBサブピクセル構造の「HyperRGB AMOLED」を採用。ピーク輝度はHDR時で10,000ニトに達する。オーディオ面でもBoseとの継続的な提携が光り、Ultraに至ってはスマホ単体で2.1chの独立サブウーファーを内蔵するという振り切った仕様だ。
カメラもPoco初の200MPメインセンサーを軸に、Ultraは5倍ペリスコープ、Proは最短10cmまで寄れる2.5倍フローティング望遠を備え、隙がない。
一方で、グローバル展開に伴う代償もハッキリと表れている。
最も懸念されるのがバッテリーの削減。ベースとなった中国版と比較し、Ultraは8,050mAhで約11%の減少にとどまるが、Proは6,330mAhと実に4分の1以上も削り落とされた。メーカー側は国際規格を満たすためのセル小型化と説明しているが、具体的な規格の詳細は明かされていない。長時間のゲーミングを想定するユーザーにとっては見過ごせないポイントだろう。
さらに、100Wの有線急速充電に対応しながら、電源アダプターは同梱されない。エコという大義名分のもとグローバル市場のトレンドに合わせた形だが、購入者の追加負担は避けられない。
プレスリリース上ではベース機にあったはずの超広角カメラに関する記載が省略されているなど、仕様面に不透明な部分も残る。それでも、F9 Proが699ドルから、F9 Ultraが799ドルからという価格設定は依然として破壊的だ。
最新チップのブランド力に固執せず、「実利用で体感できる最高峰」をいかに安く届けるか。削るべき部分は容赦なく削るPOCOの決断は、価格高騰に喘ぐ現在のハイエンドスマホ市場において、極めて理にかなった生存戦略と言えるだろう。
Source:POCO


