バルセロナで開催されるMWC 2026を目前に控え、私のスマホ通知が激しく鳴り響いた。画面に映し出されたのは、あのUnihertz(ユニハーツ)が放つ最新の刺客、Titan 2 Eliteの姿だ。
物理キーボードという、絶滅したと思われていた種族が、今まさに力強い産声を上げている。
正直に言おう。ニュースを見た瞬間、私の指先は微かに震えた。
かつてBlackBerryを愛し、そのクリック感に魂を売った一人として、この「ボタンのある風景」はあまりにも甘美だ。
しかし、同時に一抹の不安がよぎる。2026年というAI全盛の時代に、私たちは本当にまだ「指で叩く物理的な板」を必要としているのだろうか。
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突如現れた物理キーボード界の新星
Unihertzが公開したTitan 2 Eliteのプロトタイプ動画は、短くも強烈なメッセージを放っている。
前モデルであるTitan 2の無骨さを削ぎ落とし、洗練された「道具」へと進化を遂げたその姿は、まるで長年山に籠もっていた修行僧が、最新のスーツを纏って街に戻ってきたかのようだ。
最大の変化は、その絶妙なサイズ感にある。
巨大化の一途を辿る現代のスマートフォン市場において、4.03インチというコンパクトなディスプレイは、もはや一つのステートメントだ。
手に収まる安心感と、確実に文字を打ち込める喜び。
それは、どれだけ高性能な予測変換AIが進化しても決して埋められない、人間的な充足感である。



Titan 2 Eliteの判明している主要スペック
| 項目 | スペック詳細 |
| ディスプレイ | 4.03インチ(パンチホール式カメラ採用) |
| 本体サイズ | 117.8 × 75 × 10.6 mm(Titan 2より大幅に小型化) |
| CPU | MediaTek Dimensity 7300(ミドルハイ級の処理能力) |
| メモリ / ストレージ | 12GB RAM / 512GB ROM(妥協のない大容量) |
| ネットワーク | 5G対応、NFC、Bluetooth搭載 |
Clicks Communicatorとの決定的な違い
今、この界隈を騒がせているもう一つの巨頭、Clicks Communicatorについても触れないわけにはいかない。
あちらが「メインスマホを補助する、洗練されたコンパニオンデバイス」という立ち位置なのに対し、このTitan 2 Eliteは、これ一台で生活を完結させる「デイリードライバー」としての覚悟が感じられる。
特に注目すべきは、キーボードレイアウトの大胆な変更だ。
これまでのモデルで独立していたナビゲーションキーをスペースバーと同じ列に集約したことで、本体の高さが見事に抑えられている。
パンチホールカメラの採用も相まって、画面占有率と携帯性のバランスは、歴代のTitanシリーズの中でも随一と言えるだろう。
なぜ2026年の今またキーボードなのか
AIが文章を生成し、声だけで操作が完結する。そんな未来がすぐそこまで来ている2026年に、なぜ物理キーボードが熱狂を持って迎えられるのか。
それは、私たちが「情報の消費者」であることに疲れ、「情報の創造者」としての主権を取り戻したいと願っているからではないか。
ガラス板の上を滑るだけの虚無感とは異なり、キーを押し込むという行為には、自分の言葉を外の世界へ送り出す「決意」が宿る。
多くのユーザーが抱く「結局、自分はどうすればいいの?」という不安。
その答えは、AIに委ねるのではなく、自らの指で一文字ずつ紡ぎ出す確かな手応えの中にあるのかもしれない。
メーカーのUnihertzは、これまでJelly Starのような極小スマホで私たちの遊び心をくすぐってきた。
しかし、今回のEliteという名は、単なる遊びでは終わらせないという彼らの強い自負の現れだろう。
スペック表を見ても、12GBのメモリを積むなど、AI処理やマルチタスクを十分にこなせる実力を秘めている。

