「タブレットが欲しい。でも、Proモデルほど高性能じゃなくていい」
「動画やネットが快適に見られて、画面は大きい方がいい」
「できれば、価格は抑えたい…」
この、なんとも贅沢なようで、実は最も多くの人が望んでいる「ちょうど良さ」。
ハイエンドモデル(Galaxy Tab SシリーズやiPad Pro)の華々しいスペック合戦に注目が集まる中、私たちの日常に本当にフィットするタブレット選びは、意外と難しいものです。
しかし、2025年も終わりに近づく今、Samsungが「その答え、ウチが出します」と言わんばかりの、絶妙な一台を市場に投入しました。
その名も「Galaxy Tab A11 Plus」。
「え? Aシリーズ? あのエントリー向けの?」 そう思った方、その認識は今日でアップデートが必要です。9月に登場した標準モデル(Galaxy Tab A11)もコスパは悪くありませんでしたが、今回の「+」は、もはや“別物”と呼ぶべき「覚醒」を遂げています。
記事の内容を音声で聞きたい方はこちら↓

「Aシリーズ」の皮を被った、ほぼ「S」な実力
まず驚くべきは、そのスペックです。従来の「Aシリーズ=廉価版」というイメージを根底から覆す、意欲的な内容が詰め込まれています。

1. 性能の「跳ね上がり」が異常。AnTuTu 66万点の衝撃
タブレット選びで真っ先に気になるのは、やはり「サクサク動くか?」という点でしょう。
標準のTab A11が搭載する「Helio G99」(AnTuTu V10で約40万点)も、日常使いなら十分なチップです。しかし、Tab A11+が搭載してきたのは「MediaTek Dimensity 7300」。
このチップ、AnTuTu V10スコアで約665,000ポイントを叩き出します。
この「66万点」という数字がどれほどのものか? これは、標準モデルから65%以上もパフォーマンスが向上していることを意味し、数年前のハイエンドモデルに匹敵、あるいは凌駕するレベルです。
重い3Dゲームはさすがに最高設定とはいかないまでも、設定次第で十分にプレイ可能。もちろん、Webブラウジング、動画視聴、複数のアプリを切り替えるようなマルチタスクで、ストレスを感じることはまずないでしょう。
ミッドレンジ機にありがちな「ちょっとした動作のもたつき」を、根本から解消してきた。これは大きな「変化」です。

2. 没入感のキモ。「11インチ・90Hz」ディスプレイ
標準モデルが8.7インチだったのに対し、Tab A11 Plusは一気に「11インチ」の大画面を採用してきました。解像度は1920 x 1200ピクセル。TFT LCDパネルではありますが、見落としてはいけないのが「90Hz」のリフレッシュレートに対応している点です。
一般的な60Hzのディスプレイに比べ、画面のスクロールや操作時のアニメーションが格段に滑らかに。一度90Hzの「ぬるぬる感」を体験すると、もう60Hzには戻れない、という人も多いはず。
さらに、Dolby Atmos対応のクアッドステレオスピーカーを搭載。11インチの画面と合わせて、動画配信サービスや映画を迫力満点で楽しむための「環境」が、この一台で完結します。

3. 嘘だろ? まさかの「Android 16」搭載
そして、今回の情報で最も「予測を裏切られた」のが、OSです。
なんと、Android 16をベースにしたOne UI 8を搭載して登場したのです。 まだGoogle Pixelですら正式版が広く行き渡っていない(※執筆時点の仮定)最新OSを、ミッドレンジのタブレットに採用してくるというSamsungのスピード感と本気度。
これは、単に「新しいOSが使える」という以上の意味を持ちます。 OSアップデートは、タブレットの「寿命」に直結する問題です。最新OSで出荷されるということは、それだけ長く、セキュリティ面でも安心して使い続けられる証拠。購入後のサポート不安を、買う前から解消してくれています。

4. DeXもイヤホンジャックも。「分かってる」装備
さらに、細かな配慮が光ります。
- Samsung DeXのサポート
これ、めちゃくちゃ大きいです。外部ディスプレイやキーボード、マウスを接続すれば、まるでPCのようなデスクト ップ環境で作業ができる機能。Tab A11 Plusが「ただの動画視聴機」ではなく、「ライトな作業機」としても使えることを意味します。 - 3.5mmヘッドホンジャック
ワイヤレスが主流とはいえ、遅延を気にせず音ゲーを楽しみたい、お気に入りの有線ヘッドホンで高音質を楽しみたい、というニーズは確実に存在します。その「分かってる」感が嬉しい。 - 十分なバッテリーとストレージ
7,040mAhのバッテリーに25W充電対応。ストレージもmicroSDで最大2TBまで拡張可能と、抜かりありません。
気になる価格と「日本発売」の行方

これだけのスペックを詰め込んで、いったいいくらなのか? すでに販売が開始されている英国での価格を見てみましょう。
- Wi-Fi / 128GB: 249ポンド (約327ドル / 日本円換算 約48,000円 ※1ドル147円想定)
- 5G / 128GB: 299ポンド (約393ドル / 日本円換算 約58,000円)
どうでしょう。この性能で、Wi-Fiモデルが実質5万円を切るかもしれない価格設定。ドイツでは279ユーロ(約300ドル)からと、さらに安価な地域もあります。
この価格帯は、まさにiPad(無印)や、他のAndroidミッドレンジ機(Xiaomi Padなど)と真っ向からぶつかる激戦区。しかし、Dimensity 7300の性能とAndroid 16の先行搭載というアドバンテージを考えれば、その競争力は圧倒的と言えるかもしれません。
残る最大の関心事は、「日本での発売」です。 現時点(2025年11月)で、米国や日本での発売に関する公式情報はありません。
タブレット選びの「新基準」になるか

Galaxy Tab A11 Plusは、「Aシリーズ」という名前から私たちが勝手に想像する「安価だが、性能はそこそこ」というイメージを、鮮やかに裏切ってくれました。
これはもはや、Aシリーズの「プラス」ではなく、ハイエンド「Sシリーズ」の血を色濃く受け継いだ「S Lite」と呼ぶべき存在です。
特に、 「iPadは高いし、OSが違うからイヤ」「安価なAndroidタブレットは、動作がモッサリしそうで不安」 と、二の足を踏んでいた人々にとって、これ以上ない「最適解」となる可能性があります。
問題はただ一つ、日本で発売されるかどうか。 これだけの魅力的な製品を、日本のユーザーが見過ごすはずがありません。Samsung Japanの英断に、今、大きな期待が寄せられています。
もし日本で、この戦略的な価格(5万円前後)で発売されれば、2026年のミッドレンジタブレット市場は、このTab A11+を中心に回ることになるかもしれませんね。

