2024年に登場した「iPhone 16e」。発表当初は「機能に対して価格が高い」との声も聞かれましたが、蓋を開けてみれば、ベースモデルとの差がほとんどないという絶妙なコストパフォーマンスで市場を席巻し、大ヒットモデルとなったのは記憶に新しいところです。この成功体験から、多くのユーザーがその後継機である「iPhone 17e」に大きな期待を寄せていました。
しかし、その期待に冷や水を浴びせるような、不穏な情報が舞い込んできました。Apple関連のリークで絶大な信頼を誇るブルームバーグのマーク・ガーマン氏によると、来たるiPhone 17eは、多くのファンを失望させるモデルになる可能性が極めて高いというのです。
Source:AndroidHeadlines
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なぜiPhone 16eは「勝者」になれたのか?成功の裏にあった絶妙なバランス
iPhone 17eの未来を語る前に、まず我々は、その前身であるiPhone 16eがなぜあれほどの成功を収めたのかを正確に理解しておく必要があります。その理由は至ってシンプルで、「ベースモデルのiPhone 16との間に、価格差を正当化できるほどの決定的な性能差がなかった」からです。
当時のラインナップを思い出してみましょう。iPhone 16eは、iPhone 16と同じ最新チップを搭載し、カメラやディスプレイの基本的な品質も肉薄していました。もちろん、細かな違いはありましたが、多くの一般ユーザーにとって、その差は「200ドル(日本では約3万円)多く支払う価値があるか?」と問われれば、答えは「No」でした。
結果として、iPhone 16eは「賢い消費者のための選択肢」「Appleエコシステムへの最高の入場券」としての地位を確立。Appleの収益の柱となる、極めて優秀なエントリーモデルとして機能したのです。この成功体験が、我々の頭の中に「”e”モデル=コスパ最強」という方程式を刷り込みました。しかし、どうやらAppleはその方程式を、自らの手で破壊しようとしているようです。

絶望的な格差。iPhone 17と17e、その間に横たわる「大きな川」
マーク・ガーマン氏がもたらした情報によると、iPhone 17シリーズでは、ベースモデルと”e”モデルの関係性が根本から覆されます。iPhone 16シリーズのような「兄弟」ではなく、まるで世代が違うかのような「大きな川」が両者の間に横たわることになるのです。
具体的に、噂されているスペックを比較してみましょう。
【iPhone 17eとiPhone 17(ベースモデル)の比較予測】
スペック | iPhone 17e | iPhone 17(ベースモデル) | 備考 |
チップセット | A19チップ | A19チップ | 唯一の主要な共通点 |
ディスプレイ | 60Hzリフレッシュレート | 大型化・高輝度・高リフレッシュレート | 滑らかさが全く異なる可能性 |
ストレージ | 128GB〜?(据え置きの可能性) | 256GB〜 | 2倍の差は大きい |
カメラ | 48MPシングル(16eとほぼ同等) | カメラシステムもアップグレードの可能性 | 詳細不明だが差は確実 |
価格差(予測) | – | 17eより100ドル高い | 16シリーズより価格差は縮小 |
この表から読み取れるのは、衝撃的な事実です。iPhone 17eがiPhone 16eから進化するのは、心臓部である「A19チップ」のみ。一方で、ユーザー体験に直結するディスプレイとストレージという二大要素において、iPhone 17は劇的な進化を遂げます。
特にディスプレイの「高リフレッシュレート」化は決定的です。これが実現すれば、画面のスクロールやアニメーションの滑らかさが、60HzのiPhone 17eとは比較になりません。一度この滑らかな表示に慣れてしまうと、もう元には戻れないと感じるユーザーは非常に多いのです。
ちなみに、iPhone 16が現在114,800円で、16eが99,800円です。正直どう考えても16eを今の段階で購入する方は稀で、キャリアの1円状態でやっと売れる程度でしょう。
これをiPhone 17eの場合で考えても、「あと少し予算を足すだけで、こんなにも体験が向上するのか」——そう感じたユーザーが、迷わずベースモデルのiPhone 17へと流れていく光景が目に浮かびます。

Appleの巧妙な罠?”e”モデルを”おとり”にする新戦略
では、なぜAppleは「コスパ最強」という成功モデルを捨ててまで、このようなラインナップを組もうとしているのでしょうか。そこには、Appleの巧妙なマーケティング戦略が隠されていると考えられます。
仮説:利益率の高いモデルへのアップセル戦略
iPhone 16eは、Appleにとって諸刃の剣でした。売上台数は稼げるものの、本来であればもっと高価なiPhone 16を購入したであろう層まで取り込んでしまい、全体の利益率を押し下げる「カニバリゼーション(共食い)」を引き起こした可能性があります。
そこでAppleは、iPhone 17eでは戦略を転換。あえてベースモデルとの間に明確な「体験の差」を設けることで、iPhone 17eを「おとり」あるいは「呼び水」として利用するのではないでしょうか。
つまり、「iPhone 17eの価格に惹かれて来店した顧客に対し、店頭でiPhone 17の圧倒的に優れたディスプレイを見せつけ、『あと少しの投資で、これだけ快適な体験が手に入りますよ』と囁き、より利益率の高いベースモデルへと誘導する」——。
これは、自動車業界などでも見られる典型的なアップセリングの手法です。Appleは、”e”モデルを単なる廉価版ではなく、上位モデルの魅力を引き立てるための戦略的ピースとして再定義しようとしているのかもしれません。