Appleが「Vision Pro」で示した”空間コンピューティング”という未来。その巨大な波に対抗すべく、業界の巨人が満を持して投入するデバイスの姿が、思わぬ形で白日の下に晒されました。
そして、そのデバイスこそが、長らく噂されてきた「Galaxy XRヘッドセット」です。
驚くべきことに、その核心的な機能が、公式発表を前にサムスン自身のカメラアプリから「うっかり」漏洩するという、前代未聞の事態が発生したのです。
ガジェット好きなら誰もが固唾を飲んで見守るこの次世代デバイス競争。今回のフライング情報によって、サムスンがAppleに対してどのような”一手”を用意しているのか、その輪郭がはっきりと見えてきました。
この記事では、今回判明した「3Dキャプチャ」機能の詳細から、Galaxy XRヘッドセットの噂されるスペック、そして最大のライバルであるApple Vision Proとどう戦っていくのかを、最新情報をもとに深く掘り下げていきます。
Source:AndroidHeadlines
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Galaxy XRヘッドセットの最新情報まとめ

自社のカメラアプリが語った「未来の機能」
今回の情報漏洩の舞台となったのは、Galaxyスマートフォンユーザーにはお馴染みの「カメラアシスタント」アプリ。その最新バージョン(4.0.0.3)の内部に、来るべき新デバイスの能力を示唆する記述が発見されたのです。
情報によると、この新バージョンのアプリは当初「Galaxy S25 FE」という未発表のデバイスでのみ利用可能だったとのこと。しかし、海外メディアのSamMobileがそのAPKファイル(アプリ本体のファイル)を最新フラッグシップである「Galaxy S25 Ultra」にインストールしたところ、そこにはっきりと「3D(空間)画像・動画の撮影」を有効にするオプションが出現したと言います。
これは、Galaxy XRヘッドセットに搭載されたカメラを使い、立体的な写真や動画を撮影できる機能が、すでに開発の最終段階にあることを強く示唆しています。まさに、正式発表前の最終リハーサル中に、舞台袖から主役が顔を覗かせてしまったような状況と言えるでしょう。

明らかになった新機能!「3D(空間)キャプチャ」がもたらす体験とは?
では、この「3D(空間)キャプチャ」とは、一体どのような機能なのでしょうか。
これは単なる立体視(3D)とは一線を画す、AppleがVision Proで提唱した「空間ビデオ(Spatial Video)」に相当する機能と考えられます。つまり、記録した映像を後から見返した際に、まるでその場にタイムスリップしたかのような奥行きと臨場感を持って追体験できる技術です。
この機能が私たちの日常にもたらす変化を想像してみてください。
- 思い出を”空間”ごと保存する
子どもの誕生日パーティーの映像を、数年後にまるでその場にいるかのように見返す。ロウソクの炎の揺らめきや、家族の笑い声に包まれる感覚は、従来の平面的なビデオでは決して味わえません。 - 旅行体験を追体験する
訪れた先の絶景を、ただの「写真」ではなく、立体的な「空間」として記録する。帰宅後、ヘッドセットを装着すれば、いつでもあの場所の空気感を再体験できるのです。
Galaxy XRヘッドセットは、単にコンテンツを消費するためのデバイスではなく、私たちの”思い出”をこれまでにない形で記録し、再生するためのクリエイティブツールとしての側面を強く持つことになりそうです。

Galaxy XRヘッドセット、噂されるその実力
今回のリークを機に、これまで断片的に報じられてきたGalaxy XRヘッドセットのスペックに関する噂を整理してみましょう。
- ディスプレイ
高リフレッシュレート対応の高解像度Micro OLEDディスプレイを2つ搭載。これにより、滑らかで現実と見紛うほどの高精細な映像が期待できます。 - OS
Androidベースの「Android XR」を搭載。これは、普段私たちがスマートフォンで使っている無数のAndroidアプリやゲームが、この新しいXR空間で動作する可能性を示唆しており、Appleのエコシステムに対する大きな強みとなり得ます。 - 操作方法
手の動きや指をピンチするジェスチャーでの直感的な操作に対応。また、別売で専用のモーションコントローラーも用意される見込みです。 - バッテリー
Vision Pro同様、外付けのバッテリーパック形式になる可能性が報じられています。 - 発売日と価格
韓国では早ければ9月29日に発売されるとの噂も。価格は1,800ドルから2,800ドル(約27万円〜42万円)の範囲になると予想されており、Vision Pro(3,499ドル〜)と比較すると、より多くのユーザーに手が届く価格設定になるかもしれません。

まとめ
今回、サムスンの”うっかりミス”によって明らかになった3D(空間)キャプチャ機能。これは、Galaxy XRヘッドセットがApple Vision Proの単なる追随者ではなく、独自の強みを持って市場に挑むという強い意志の表れです。
AppleがApp Storeという強力な生態系を武器に「空間コンピューティング」の体験をリッチにしていく一方、サムスンはオープンなAndroidエコシステムと、より競争力のある価格を武器に戦うことになるでしょう。ユーザーが自ら思い出を「空間コンテンツ」として生み出せるこの3Dキャプチャ機能は、その戦いにおける極めて重要な”弾薬”となるはずです。
公式発表はまだですが、今回のリークは、次世代デバイスを巡るAppleとサムスンの壮大な戦いの火蓋が、まさに今、切られようとしていることを告げる号砲と言えます。
