現実と仮想が融合するXR(エクステンデッド・リアリティ)の世界。Apple Vision Proの登場で一気に注目度が高まりましたが、スマートフォン市場の巨人、Samsungも黙ってはいませんでした。
長らくその存在が噂されてきたSamsungのXRヘッドセット開発計画、通称「Project Moohan」。2025年初頭にその存在が公式に示唆されて以来、多くのテクノロジーファンがその詳細を待ち望んでいました。
そしてついに! その「Project Moohan」が、ベンチマークサイト「Geekbench」のデータベースに登場したのです! これは、開発が順調に進んでいる証であり、何より、その驚くべきスペックの一部が明らかになったことを意味します。
Appleの牙城に、Samsungはどのような一手で挑むのか? 今回は、Geekbenchに現れた「Project Moohan」のデータから、その秘められたポテンシャルとXRの未来を紐解いていきましょう!
Source:AndroidHeadlines
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ついにベールを脱ぐ? Samsung「Project Moohan」がGeekbenchに登場!

「Project Moohan」――このコードネームを耳にするようになってから、かなりの時間が経ちました。SamsungがGoogleやQualcommとタッグを組み、次世代のXR体験を創り出そうとしているという話は、私たちの期待を膨らませてきました。
そして2025年、Samsungはその計画の一端を公式に認め、XR市場への本格参入を宣言。そして今、その具体的なデバイス(モデル番号SM-I610)がGeekbenchに登場したのです。
Geekbenchは、CPUなどの性能を測定し、そのスコアを公開するサイトです。ここに登場するということは、試作機がある程度のレベルで動作しており、製品化に向けたテストが進んでいることを強く示唆しています。まさに、ベールに包まれていた怪物が、その姿を現し始めた瞬間と言えるでしょう!
心臓部は”最強級”! Snapdragon XR2+ Gen 2の実力とは?

Geekbenchのデータが明らかにした最も重要な情報、それは搭載されるチップセットです。Project Moohanには、Qualcommの最新かつ最強のXR向けチップ「Snapdragon XR2+ Gen 2」が搭載されていることが確認されました!
これはただのスマホ用チップではありません。まさにXR体験のために生まれ、最適化されたプロセッサーなのです。
Snapdragon XR2+ Gen 2は、高性能なCPUコア(Geekbenchによれば6コア構成)と、強力なグラフィックス処理能力を持つ「Adreno 740 GPU」を内蔵しています。このAdreno 740 GPUは、現在のハイエンドスマートフォンにも搭載されているもので、その描画能力は折り紙付き。これがXRヘッドセットに搭載されるとなれば、息をのむほどリアルで没入感のあるVR/AR体験が期待できます。
Apple Vision Proが独自のR1/M2チップで高い性能を実現しているのに対し、SamsungはQualcommとの強力なタッグで対抗する構えです。この”心臓部”を見るだけでも、Samsungの本気度が伝わってきますね!
Geekbenchスコアと”16GB RAM”が示す圧倒的パフォーマンス!

では、実際の性能はどうなのでしょうか? Project Moohanは、Geekbench 6のテストでシングルコア990、マルチコア2,453というスコアを記録しました。
この数値は、複雑な仮想空間の構築や、現実世界への高度なAR情報の重ね合わせといった、非常に負荷の高いタスクをスムーズに処理できるポテンシャルを持っていることを示しています。
さらに驚くべきは、搭載されるRAM(メモリ)が16GBであること。これはハイエンドなゲーミングPCに匹敵する容量であり、複数のアプリケーションを同時に動かしたり、高解像度のテクスチャを扱ったりする上で、絶大なアドバンテージとなります。
そして、OSにはAndroid 14が搭載されていると記載されています。これは、Google I/O 2025で正式に発表された、Googleの新しいXR向けOS「Android XR」のベースとなるものでしょう。Googleとの連携によって、豊富なアプリやサービスが利用できるエコシステムが構築されることも期待されます。
Samsungの野望はヘッドセットだけじゃない? Googleとの連携と”スマートグラス”の影

SamsungとGoogleは、XR分野で非常に緊密に連携していると報じられています。今回の「Project Moohan」は、その協力関係が生み出す最初の大きな成果となりそうですが、これは壮大な計画の始まりに過ぎないのかもしれません。
情報によると、Samsungはヘッドセット型デバイスだけでなく、より軽量で日常的に使えるスマートグラス(コードネーム:Project Haean および Project Jinju)の開発も進めているとのこと。
Snapdragon XR2+ Gen 2チップ自体が、
- 低遅延フルカラーパススルー(ヘッドセットを装着したまま、現実世界を違和感なく見られる技術)
- 超高速Wi-Fi 7(いつものWi-Fiよりちょー高速)
- フォービエイテッドレンダリング(ユーザーが見ている中心部を高解像度で、周辺部を低解像度で描画し、処理負荷を軽減する技術) といった、先進的なXR機能をサポートしていることも、将来的なデバイスの多様性を示唆しています。
ヘッドセットで没入体験を、スマートグラスで日常的なAR体験を。Samsungは、XR技術をあらゆる場面で活用する未来を見据えているのです。
発売日はいつ? Unpackedイベントに期待!

さて、最も気になる発売日ですが、残念ながらまだ具体的な発表はありません。
しかし、Geekbenchに登場したという事実は、開発が最終段階に近づいていることを意味します。多くの専門家は、2025年後半から2026年初頭にかけての発売を予測しています。
もしかしたら、今後開催されるSamsungの「Unpacked」イベントで、さらなる詳細情報や、正式な発売日がサプライズ発表されるかもしれません! これは見逃せませんね!
まとめ
SamsungのXRヘッドセット「Project Moohan」がGeekbenchに登場したことは、XR市場にとって非常に大きなニュースです。
- Snapdragon XR2+ Gen 2 という強力な心臓部
- 16GB という大容量RAM
- Android XR というGoogleとの強力なタッグ
これらの要素は、Project MoohanがApple Vision Proの強力なライバルとなり、XR市場をさらに活性化させる可能性を秘めていると思われます。
高価で専門的なデバイスというイメージがあったXRヘッドセットが、Samsungの参入によって、より多くの人々に手の届く存在になるかもしれません。仮想空間での会議、現実世界に情報を重ねるナビゲーション、そして全く新しいエンターテイメント… XRがもたらす未来は、私たちが想像する以上に刺激的なものになりそうです。
