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手頃な価格で人気のシングルボードコンピューターに、異端のモデルが追加された。公式販売代理店Cytronから登場した「Raspberry Pi 4 Model B」の特別版は、標準モデルより明確に安価だが、CPUクロックが最大1.25GHzに制限されている。
いわゆる「選別落ち」のシリコンを搭載した、実用重視のコストダウンモデルだ。
2019年に登場したRaspberry Pi 4は、発売当初1.5GHz駆動だったが、その後のソフトウェアアップデートで1.8GHzのピーク性能を引き出した経緯を持つ。
今回Cytronが販売する特別版は、Raspberry Pi側から直接供給された正規のBroadcom BCM2711チップを使用しつつも、この1.8GHzというピーク要件を満たせなかった個体を採用している。
仕様外れを廃棄するのではなく、1.25GHzにクロックダウンして安定動作する水準に抑え、その分安価に流通させる。PC向けCPUなどの半導体製造では一般的な歩留まり向上の手法だが、SBC市場において販売元がスペックダウンを明記して大々的に展開するケースは珍しい。
ご提示いただいたRaspberry Pi 4「スペシャルバリューボード」の仕様データを、項目ごとに整理して見やすい表にまとめました。
基本仕様一覧
| 項目 | 詳細仕様 |
| SoC | Broadcom BCM2711C0 クアッドコア Cortex-A72 (ARMv8) @最大1.25 GHz |
| GPU | VideoCore VI GPU(OpenGL ES 3.0グラフィックス対応) |
| システムメモリ | 4GB または 8GB LPDDR4-3200 |
| ストレージ | microSDカードスロット |
| ビデオ出力 | ・micro HDMIポート ×2 (現状デュアル構成で最大1080p60 / 4Kp30×2を開発中 / 単体最大4Kp60対応) ・3.5mm AVポート(コンポジットビデオ対応) |
| ディスプレイ I/F | 2レーンMIPI DSIディスプレイポート |
| カメラ I/F | 2レーンMIPI CSIカメラポート |
| ビデオコーデック | ・デコード:H.265 (最大4Kp60)、H.264 (最大1080p60) ・エンコード:H.264 (最大1080p30) |
| オーディオ | ・3.5mm AVポート経由(ステレオオーディオ) ・HDMIポート経由(デジタルオーディオ) |
| 通信機能 | ・真のギガビットイーサネット (RJ45) ・デュアルバンド WiFi 5 (802.11b/g/n/ac 2.4GHz/5.0GHz) ・Bluetooth 5.0 BLE |
| USBポート | USB 3.0ポート ×2、USB 2.0ポート ×2 |
| 拡張性 | 標準40ピンGPIOヘッダー(従来のRaspberry Piボードと完全な下位互換性あり) |
| 電源入力 | ・USB-Cコネクタ経由 (5V DC / 最低3A) ・GPIOヘッダー経由 (5V DC / 最低3A) ・Power over Ethernet (PoE) ※オプションのPoE HATが必要 |
| 外形寸法 | 85 x 56 mm(他のモデルB基板と同サイズ) |
| 動作温度範囲 | 0 〜 50℃ |

そして、肝心の価格設定はシビアに練られている。
4GBメモリ搭載モデルは87.25ドル。同社が扱う通常版が110ドルのため、およそ2割のディスカウントだ。8GBモデルでは147ドルとなり、通常版の181.50ドルと比較すると30ドル以上の価格差が生まれる。
性能面への影響は用途によって明暗が分かれる。
ピーク性能で約30%のクロックダウンとなるため、重い演算処理やデスクトップPC的な使い方では顕著なもたつきを感じるはずだ。だが、センサーデータの収集や単純な自動化スクリプトの実行といった軽量なIoT用途であれば話は別。1.25GHzでもリソースを持て余すケースは多く、処理能力の低下が致命的なボトルネックになることは少ない。
すでに最新世代のRaspberry Pi 5が普及フェーズに入っている現在、Pi 4の主戦場はハイエンド志向のホビー用途から、堅実な組み込み用途や低予算プロジェクトへとシフトしつつある。
予算上限の厳しい教育現場や、複数台のノードを並べるクラスタ構築において、浮いたコストを周辺機器に回せるメリットは大きい。チップの歩留まり向上と在庫消化を兼ねたこの合理的なアプローチは、成熟したSBC市場の新たな販売手法として定着していく兆しを見せている。
Source:CNXSoftware

