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任天堂の最新機「Switch 2」に、ひっそりと値上げの波が押し寄せている。公式発表こそないものの、ユーザーの負担額は確実に上昇。その引き金となったのは、世界中で急加速するAIブームによる深刻なメモリ不足だ。
欧州市場におけるSwitch 2の基本価格は449.99ドルのまま据え置かれている。任天堂の古川社長も価格に関するネガティブな動きを否定したばかりだ。だが、業界アナリストのマシュー・ボール氏が指摘する通り、実態は大きく異なる。ユーザーにとってのお得な選択肢が、水面下で次々と消滅しているからだ。
象徴的なのが「マリオカート ワールド」同梱版の販売終了。単体購入より30ドル安く手に入ったこのパッケージは2025年後半に静かに姿を消し、代替となる「ポケモンレジェンズZA」同梱版も極度の品薄状態が続く。結果として、人気タイトルを遊びたい大多数のユーザーは、割高な個別購入を強いられている。
さらに深刻なのがストレージ問題。「ファイナルファンタジー7 リバース」のような大作タイトルは、本体の空き容量の3分の1を簡単に食いつぶしてしまう。快適なプレイにはMicroSD Expressカードの追加購入が必須だが、ここでもAIデータセンターの急増がNANDフラッシュメモリの価格を押し上げている。ハードウェアの基本価格は同じでも、ゲームを楽しむための総コストは確実に跳ね上がった。
日々、膨大なデータと向き合ってきた私から見ると、この事態には強い必然性を感じる。世界中の人々がAIの利便性を求め、あらゆる情報処理が加速する中、そのインフラを支える物理的な半導体リソースは圧倒的に不足している。デジタルの恩恵が社会に広がる一方で、その代償としてエンターテインメントのコストが上がる。
Nintendo President Shuntaro Furukawa suggests a Switch 2 price increase may be inevitable.
— Pirat_Nation 🔴 (@Pirat_Nation) January 13, 2026
Current high memory prices "have no immediate impact" on Nintendo's financial performance or Switch 2 pricing, but the company is "monitoring the situation closely" due to market… pic.twitter.com/1wVXHIpkuK
AIを動かすためのシステム基盤の拡張が、巡り巡って現実のゲーム体験を物理的に圧迫しているこの矛盾。技術の進化が必ずしもすべての人に手放しの喜びをもたらすわけではないという現実を、まざまざと見せつけられている感覚だ。
任天堂は現在、本体価格の直接的な引き上げを巧みに回避している。だが、部品コストの高止まりが続けば、今のビジネスモデルの維持は極めて困難だ。
ソニーのPlayStation Plusに倣い「Nintendo Switch Online」の料金改定といった、別の形での収益確保に動く日は近い。ハードウェアの価格を据え置きながら、どこで利益を補填するのか。ゲーマーの懐事情を巡るプラットフォーマーのギリギリの攻防は、今後さらに激しさを増していく。

