ついにこの時が来たか、というのが正直な感想です。2026年、私たちは「スマホの脳」だけで中堅クラスのスマートフォンが1台買えてしまう時代に足を踏み入れようとしています。
台湾からの新たな報道によると次世代iPhoneの心臓部となる「A20」チップ。その製造コストが、現行のiPhone 17に搭載されているA19チップから80%以上も跳ね上がり、1個あたり約280ドル(現在のレートで4万円強)に達するという驚きの予測が出てきました。
最新技術の結晶とはいえ、この「進化の代償」は私たちの財布にどう響くのでしょうか。
今回は、なぜこれほどまでに高価なのか、そしてその価格に見合うだけの「劇的な変化」は何なのか。専門的な話を噛み砕いて、ユーザー目線での不安と期待を整理していきます。
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まるで宝石?チップ1個に280ドルもかかる理由

これまでiPhoneのチップコストは、世代を追うごとに少しずつ上昇してきましたが、今回の跳ね上がり方は異次元です。かつてのA18 Proが50ドル程度だったことを考えると、わずか2年で価格が5倍以上に膨らんだ計算になります。
この値上げの最大の要因は、世界最強の半導体メーカー・TSMCが社運をかけて投入する「2nm(ナノメートル)プロセス」にあります。
今回の2nmプロセスでは、これまでの構造を根底から覆す「第1世代ナノシートトランジスタ技術」が採用されています。非常に複雑な工程が必要なため、製造装置のコストも跳ね上がり、そのしわ寄せがそのままチップの価格に乗ってきているのです。
しかもAppleは、この貴重な2nmの生産ラインを世界で独占的に(半分以上)確保したと言われており、ライバルであるQualcommやMediaTekを寄せ付けない圧倒的な性能を手に入れる代わりに、莫大な「場所代」を支払うことになりました。
構造の大変革「WMCM」がもたらす魔法のような柔軟性

高価なのは、単に「細かくなったから」だけではありません。チップの作り方そのものが、これまでの「1枚岩」から「レゴブロックのような組み合わせ」へと進化するからです。
これまでのAppleチップは「InFO」という技術で、メモリなどの部品を一つのダイ(板)に詰め込んでいました。しかしA20からは「WMCM(Wafer-Level Multi-Chip Module)」という新しいパッケージ方式に移行すると報じられています。
これは、CPU、GPU、そしてAIを司るニューラルエンジンをそれぞれ独立したパーツとして作り、一つのパッケージにまとめ上げる技術です。
この変化が私たちユーザーに何をもたらすのか。それは「圧倒的な効率化」です。
例えば、軽いSNSチェックをしている時はCPUだけを動かし、重いゲームをする時はGPUをフル稼働させるといった、各パーツの「独立した電力制御」がより緻密になります。
これにより、パフォーマンスは上げつつも、バッテリーの持ちをさらに延ばすことが可能になるのです。まさに、電力の「無駄食い」を許さない究極の省エネマシンへと進化します。

進化と価格の狭間で、私たちが選ぶべき道
正直なところ、1個のチップにここまでのコストをかけるAppleの姿勢には、狂気すら感じます。しかし、それは「スマートフォンという道具の限界」をもう一度押し広げようとする挑戦の現れでもあります。
かつて、携帯電話が10万円を超えた時に私たちは驚きましたが、今やそれは当たり前になりました。今回のA20チップによる価格ショックも、数年後には「あの時にスマホが本当の意味でAIコンピュータに変わったんだよね」と振り返る分岐点になるのかもしれません。
最新のiPhoneを手に入れることが、単なる「買い替え」ではなく、自分専用の超高性能AIをポケットに飼うような体験に変わるなら。その4万円の「脳」には、それだけの価値があるのかもしれません。
もちろん、私たちの家計にとっては大打撃ですが、Appleがこの莫大なコストをどう「体験」として還元してくれるのか。発表会でティム・クックが語るであろう「驚きの魔法」を楽しみに待ちたいと思います。
皆さんは、このチップ1個4万円という価格、進化への正当な対価だと思いますか?それとも、そろそろ限界だと思いますか?

