ずっと待っていたはずなのに、届いた知らせに少しだけ肩を落としてしまったのは私だけでしょうか。
Appleが密かに準備を進めている「折りたたみ式iPhone」。
ようやく量産に向けた試作品の組み立てが始まったという明るいニュースの裏側で、耳を疑うようなスペックがリークされました。それは、私たちが期待していた「魔法のようなデバイス」とは少し違う、かなり「重厚感」のある現実でした…
Source:PhoneArena
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物理法則には勝てない?iPhoneが「重くて厚い」という現実
リークされた情報によると、折りたたみ式iPhoneの厚さは、閉じた状態で約9.5mmから10mm。そして重量はなんと255グラムに達すると言われています。
数字だけ聞いてもピンとこないかもしれませんが、これは最近のスマートフォンとしてはかなりの「重量級」です。毎日持ち歩き、片手で操作することを考えると、この40グラムの差は、じわじわと手首に効いてくる重さです。
それに対して、最大のライバルである「Galaxy Z Fold 7」は、厚さ8.9mm、重さ215グラムを実現しようとしています。技術的なスペック競争という土俵の上では、Appleは土俵に上がる前から、サムスンに「優勝」の座を譲ってしまっているようにさえ見えます。
サムスンに勝てない「目立つ折り目」の不安
さらに気になるのが、ディスプレイの「折り目」問題です。
サムスンや他の中国メーカーが、ヒンジ(蝶番)の改良を重ねて折り目をほぼ消し去ろうとしている一方で、Appleの試作品には依然として「はっきりとわかる折り目」が残っているという噂があります。
高いお金を払って手に入れる未来のデバイスに、画面中央の窪みという「ノイズ」が残っている。これは、美しさを重視するAppleユーザーにとって、かなりニッチで、けれど無視できない不安要素ではないでしょうか。
しかし、ここで少し立ち止まって考えてみてください。Appleはいつだって「世界一のスペック」ではなく「世界一の体験」を売ってきたはずです。かつてのiPhoneが、他社より解像度が低くても、メモリが少なくても、圧倒的な支持を得てきたあの不思議な現象が、また繰り返されようとしているのかもしれません。


36万円の価値はあるか?「タイパ」と「所有欲」のジレンマ
そして、最も大きな壁が「2,400ドル」という予想価格。日本円にして約36万円(1ドル150円計算)という、もはやパソコンを2台買えてしまうような価格設定です。
これほどの金額を投じるメリットは何でしょうか?
- iPhoneというブランドが提供する、圧倒的なリセールバリュー。
- iOSのエコシステムから離れずに、大画面を享受できる利便性。
- 「最新のAppleを持っている」という、理屈を超えた満足感。
正直なところ、コストパフォーマンスやスペックの数値だけで選ぶなら、迷わずサムスンやPixelを選んだ方が賢い選択と言えるでしょう。しかし、スマホはもはや単なる道具ではなく、自分を表現する一部。
スペックで劣っていても、売上では圧勝する。そんな「Appleマジック」が、この折りたたみiPhoneでも発揮されるのは、もはや既定路線のように感じてしまいます。

結局、私たちは「夢」を買わされている…いつもそう。
今回のリーク情報を整理していて感じたのは、Appleが非常に「人間臭い」選択をしているということです。技術的に完璧なものを出すまで何年も待たせるのではなく、「重くても、折り目があっても、これが今のAppleのベストです」と、少し不器用な形で世に出そうとしている。
255グラムという重さは、確かに重い。けれど、その重さは「Appleが折りたたみという未知の領域に踏み出した歴史の重み」だと、ファンなら解釈してしまうのでしょう。
スペック表の数字で一喜一憂するのは、私たちガジェット好きの性ですが、結局、最後に心を動かすのは「使っている自分を好きになれるか」という一点に尽きます。
サムスンが技術の極致を追求するなら、Appleはブランドの引力で人々を惹きつける。この対照的な構図は、2025年のスマホ市場を最高に面白くしてくれそうです。

