スマートフォンの性能競争が、ついに新たな次元へと突入するかもしれません。私たちの手のひらにあるデバイスの頭脳、SoC(System-on-a-Chip)で圧倒的なシェアを誇るQualcommから、次期フラッグシップチップに関する衝撃的なリーク情報が飛び込んできました。
その内容は、スマートフォンの性能を測る代表的なベンチマークテスト「AnTuTu」において、「400万点」というとてつもないスコアを叩き出すというもの。現行のハイエンドモデルが束になっても敵わない、まさに”怪物級”の性能です。
しかし、その驚異的な性能とは裏腹に、正式名称が「Snapdragon 8 Elite 2」になるのか、はたまた「Snapdragon 8 Gen 5」になるのか、情報が錯綜し大きな混乱を呼んでいます。
この記事では、この次世代チップが持つ異次元の性能、謎に包まれた名称問題の真相、そしてSamsungの次期フラッグシップ「Galaxy S26」に用意されるという”特別バージョン”の噂まで、現時点で判明している情報を徹底的に分析し、分かりやすく解説していきます。
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AnTuTu 400万点のSnapdragon 8 Elite 2の実力とは

「AnTuTu 400万」はスマホ性能のブレークスルーか?
まず、今回のリークで最も注目すべき「AnTuTuスコア400万点」が、どれほど凄いことなのかを理解しましょう。
現在市場に出回っている最新・最高のフラッグシップスマートフォンでも、AnTuTuのスコアはおおよそ250万点から300万点程度です。つまり、Qualcommの次期チップは、現行モデル比で1.5倍以上もの圧倒的な性能向上を遂げる可能性があることを意味します。これは、スマートフォンの進化の歴史においても、極めて稀なジャンプアップです。
この性能が実現すれば、私たちのスマートフォン体験は劇的に変わるでしょう。
- モバイルゲーム
今までPCや家庭用ゲーム機でしか実現できなかったような、高精細で滑らかなグラフィックスのゲームが、スマートフォンで快適にプレイ可能になります。 - AI処理
写真の高画質化、リアルタイム翻訳、そしてデバイス上で動作する生成AIなど、より高度で複雑なAIタスクが瞬時に実行できるようになります。 - マルチタスク
複数の重いアプリを同時に立ち上げても、動作がもたつくことは一切なくなるかもしれません。
まさに、スマートフォンの性能がノートPCに迫る、あるいは一部では凌駕する時代の到来を予感させるスコアです。

性能は確定、しかし名称は謎?「Elite 2」vs「Gen 5」
これほどの性能を誇るチップですが、その正式名称については大きな謎に包まれています。当初、業界では現行の「Snapdragon 8 Elite」の後継として、順当に「Snapdragon 8 Elite 2」と名付けられると予想されていました。
しかし、信頼性の高いリーカーとして知られるWeiboのDigital Chat Stationが、このチップのコードネーム「SM8850」が、最終的に「Qualcomm Snapdragon 8 Gen 5」としてリリースされる可能性があると報じたことで、状況は一変しました。
この報道が大きな混乱を呼んでいるのには理由があります。もともと「Snapdragon 8 Gen 5」という名称は、性能を少し抑えた「サブフラッグシップ」向けのチップに使われると噂されていたからです。いわば、最上位モデルの名前が、一つ下のクラスのモデル名と入れ替わるような事態が起きているのです。
Qualcommは近年、ミッドレンジ向けのチップで命名規則を複雑化させてきましたが、その流れが最上位のフラッグシップシリーズにも及ぶとなれば、消費者にとっては非常に分かりにくい状況と言わざるを得ません。この名称問題の真相は、後述する公式発表を待つしかなさそうです。
怪物チップの心臓部。CPUとGPUのスペックに迫る
名前はさておき、その心臓部であるCPUとGPUのスペックに関する情報もリークされています。
- CPU構成:
- 4.61GHz の超高性能「Prime」コア × 2基
- 3.63GHz の高性能コア × 6基
- GPU:
- Adreno 840
特に注目すべきは、最高クロック周波数を叩き出す「Primeコア」が2基搭載されている点です。これにより、極めて高いシングルスレッド性能とマルチスレッド性能の両立が期待できます。また、新しい「Adreno 840 GPU」は、前述したような驚異的なゲーミング体験とグラフィック性能を実現するための鍵となるでしょう。
さらなる高みへ。「for Galaxy」特別版がS26に搭載か
QualcommとSamsungの特別なパートナーシップは、次世代チップでも継続されるようです。リーク情報によると、標準版とは別に、Samsungの次期フラッグシップモデル「Galaxy S26」シリーズのためだけに用意された、さらに強力な特別バージョンが存在すると言われています。
この「for Galaxy」版と呼ばれるチップは、Primeコアのクロック周波数が標準版の4.61GHzから4.74GHzへと、さらに引き上げられるとのこと。ほんのわずかな差に見えるかもしれませんが、このチューニングにより、発売当初はGalaxy S26シリーズが他のどのAndroidスマートフォンよりも高いパフォーマンスを発揮する「期間限定の王座」に就く可能性があります。
なお、このアップグレード版は、一定の独占期間を経た後、最終的には他のスマートフォンメーカーにも供給される見込みとのことです。

まとめ
今回は、Qualcommの次期フラッグシップチップに関する、期待と少しの混乱が入り混じったリーク情報をお届けしました。
AnTuTuスコア400万点という数字は、単なる性能向上という言葉では片付けられない、まさに時代の節目となる可能性を秘めています。これが実現すれば、私たちのスマートフォンは、エンターテインメントからクリエイティブな作業、そしてAIアシスタントに至るまで、あらゆる面でその役割を大きく変えることになるでしょう。
その一方で、「Elite 2」なのか「Gen 5」なのかという名称問題は、高性能化・複雑化する製品ラインナップを、ユーザーにどう分かりやすく伝えていくかというメーカー側の課題を浮き彫りにしています。
全ての答えは、9月23日に開催が予定されている「Snapdragon Summit 2025」で明らかになるはずです。そこで発表される正式名称と、ベールを脱ぐ真の性能が、来年以降のスマートフォン市場の勢力図をどう塗り替えるのか。今から目が離せません。
