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待望のApple初となる折りたたみ式スマートフォン「iPhone Fold」の年内登場に、急ブレーキがかかった。当初有力視されていた2026年9月の発売スケジュールは、製造工程における技術的なハードルにより、早くて12月、最悪の場合は2027年以降への延期が濃厚となっている。
10年近く前から噂が絶えなかった、Appleの折りたたみ市場への参入。
ついに量産体制へ移行するかと思われた矢先、日経アジアの報道が市場に冷や水を浴びせた。初期の試作段階で予想を上回るトラブルが発生し、大幅なスケジュール見直しを迫られているという。
遅延の要因が、半導体やメモリモジュールの部材不足ではない点こそ、事態の深刻さを物語る。
Appleはすでに十分な部材を確保済み。問題はエンジニアリングプロセスそのもののボトルネック、つまり純粋な「設計と製造の擦り合わせ」にある。
まさに現在、2026年4月から5月上旬にかけては、技術検証テストの極めて重要な局面。ここで不具合の潰し込みと必要な調整を完了できなければ、秋の発売は物理的に不可能になる。
初回生産ロットとして約700万台を計画していたとされるApple。
すでにサムスンやGoogle、中華系メーカーが何世代にもわたり折りたたみスマホを市場投入し、独自のノウハウを蓄積している。後発となるAppleが「妥協のない完成度」を追求するのは必然の戦略。
しかし、ヒンジ機構やフレキシブルディスプレイの耐久性など、Appleが求める極めて高い品質基準の壁に自ら苦しめられている実態が透けて見える。
この春の検証結果が、すべてを左右する。
未発表製品に対して徹底した秘密主義を貫くAppleだが、サプライチェーンの動向から間もなく新たなシナリオが判明するはずだ。革新的なユーザー体験をもたらすのか、それとも開発の泥沼に沈むのか。次世代iPhoneの命運を決する過酷な1ヶ月が、静かに始まっている。
Source:Nikkei Asia

