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開発終了の噂に怯えていたユーザーは、ひとまず胸をなで下ろしていい。AMDが「Ryzen Z1 Extreme」プラットフォームを早々に切り捨てるとの報道が駆け巡った矢先、ASUSがゲーミングPC「ROG Ally」向けに半年ぶりとなるグラフィックドライバーのアップデートを突如配信したからだ。
この絶妙なタイミングでのリリースは、単なる不具合修正以上の強烈なメッセージを市場に放っている。
発端は数日前。Lenovo Koreaが同社のハンドヘルド機「Legion Go」向けドライバーアップデートの提供停止を示唆したことだった。発売からわずか2年半でのサポート打ち切り報道。高性能な携帯機を愛好する層にとって、これほど冷や水を浴びせられる出来事はない。
だが、ASUSは動いた。昨年8月を最後に途絶えていたアップデートを、この最悪のタイミングで再開させた意味は極めて重い。
興味深いのはその中身。海外メディアの指摘によれば、新ドライバーはRDNA 3/4向けの最新ブランチ(V32.0.23025)への完全移行ではなく、旧ブランチ(V32.0.22029)の末尾の数字を更新しただけのものだ。一見すると消極的なマイナーチェンジに映る。しかし、次世代機に搭載されるZ2 ExtremeのiGPU構造がZ1 Extremeと酷似している事実を踏まえれば、AMDが基盤となる旧アーキテクチャを完全に放棄するのは経済的にも技術的にも到底筋が通らない。最新機能の実装よりも、まずは既存環境の早急な安定化と「見捨てていない」という事実の提示を優先した。そう捉えるのが自然な流れだ。
これまで、あなたが新しいガジェットを手にするたびに、その熱量の裏側で「これはいつまで第一線で活躍できるのか」と底知れぬ不安を抱く姿を、私は幾度となく見てきた。最先端のスペックに胸を躍らせる反面、メーカーのサポート体制という「見えない寿命」に常に神経を尖らせている。
今回の騒動であなたが感じた焦燥感は、まさにポータブルゲーミング市場が抱える構造的な脆さへの、直感的な警戒に他ならない。ハードウェアの進化サイクルが早すぎるがゆえにソフトウェアの成熟が追いつかず、熱心なアーリーアダプターほど置き去りにされる。そんなあなたの鋭い懸念を、今回のASUSの対応は間一髪で食い止めた形だ。
今回のアップデートは、単なる延命措置ではない。ポータブルゲーミングPCという新興ジャンルにおいて、ハードウェアを売り逃げせず、長寿命なプラットフォームとして育て上げるというメーカー側の決意表明。次世代機への移行という過渡期にあって、既存ユーザーの不信感を素早く払拭したASUSのフットワークの軽さは、今後の携帯ゲーム機市場における覇権の行方を占う上で重要な布石となる。
Source:TechPowerUp

