「スマートウォッチは、高機能で、高価で、そして毎日充電するもの」 いつしか、私たちの頭にはそんな常識が刷り込まれてはいないでしょうか。Apple WatchやGalaxy Watchが切り拓いた市場は、確かに私たちの生活を豊かにしましたが、その一方で「価格の高さ」や「充電の煩わしさ」という”スマートウォッチ疲れ”を感じている人が少なくないのも事実です。
その息苦しい常識に、新進気鋭のブランド「Nothing」のサブブランドであるCMFが、痛快なカウンターパンチを繰り出しました。
その名も「CMF Watch 3 Pro」
価格は、わずか79ドル。それでいて、スマートフォンなしでランニングを記録できる「GPS」を内蔵し、一度の充電で最大60日間も動き続ける驚異のバッテリーライフを実現。にわかには信じがたいスペックを、スタイリッシュなメタルケースに詰め込んで登場しました。
しかし、うますぎる話には裏があるのでは?と疑うのが賢明な消費者というもの。この記事では、CMF Watch 3 Proが持つ圧倒的な価値を解き明かすと同時に、その驚異的な価格を実現するために受け入れた“一つの妥協点”にも鋭く切り込みます。とりあえず、日本での発売は当然未定です。


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CMF Watch 3 Proの最新情報まとめ

常識を破壊する「3つの価値」。なぜ79ドルでこれが可能なのか?
CMF Watch 3 Proの価値を語る上で、外すことのできない3つの「常識破り」な特徴があります。これら一つ一つが、本来であればこの価格帯では考えられない機能です。
価値①:『スマホからの解放』を告げる、内蔵GPSモジュール 格安スマートウォッチの多くは、GPS機能を利用するためにスマートフォンの携帯が必須でした。しかし、CMF Watch 3 Proはこの常識を打ち破ります。本体にGPSモジュールを内蔵しているため、スマートフォンを家に置いたまま、身軽にランニングやサイクリングに出かけることができるのです。
走った距離、ペース、ルートといった記録は、すべて時計本体が正確にトラッキング。運動後にスマートフォンと同期すれば、詳細なデータを確認できます。これは単なる機能追加ではありません。「運動するぞ」と決意した時に、重いスマートフォンを持つか持たないか、という心理的なハードルを取り払ってくれる、『体験の革新』なのです。

価値②:『充電の呪縛』を解く、最大60日間のバッテリー 「昨夜、充電し忘れた…」スマートウォッチユーザーなら誰もが一度は経験する絶望的な朝。CMF Watch 3 Proは、そんな日常からあなたを完全に解放します。
通常使用でも13日間、そして機能を制限した省電力モードを有効にすれば、最大で60日間という、もはや異次元のバッテリー寿命を誇ります。これは、数週間の長期旅行や出張でも、充電器をカバンに入れる必要がないことを意味します。常に腕にあるガジェットのバッテリー残量を気にしなくてよい、という精神的な余裕。これこそが、CMF Watch 3 Proが提供する最大の贅沢かもしれません。
価値③:『安っぽさ』を裏切る、メタルケースと通話機能 79ドルという価格を聞くと、多くの人はプラスチック製のチープな質感を想像するでしょう。しかし、CMF Watch 3 Proは、その期待を心地よく裏切ります。IP68の防水認証を受けたメタルケースは、フラットなフレームデザインと相まって、価格以上の高級感と堅牢性を演出。シルバー、ダークグレーといった落ち着いたカラーリングは、ビジネスシーンにも自然に溶け込みます。
さらに、本体にはスピーカーとマイクを内蔵。スマートフォンと接続していれば、手元で電話に出たり、かけたりすることが可能です。両手がふさがっている時や、少しだけ通話したい、という場面で、この機能は想像以上に役立ちます。

デザインとディスプレイは「らしさ」と「割り切り」の共存
デザインは、Nothingのフィロソフィーを受け継ぐCMFらしく、ミニマルで洗練されています。1.43インチの円形AMOLEDディスプレイは、解像度466 x 466と十分に高精細。漆黒の背景に鮮やかなグラフィックが浮かび上がる様は、120種類以上用意されたウォッチフェイスを切り替える楽しみを増幅させてくれます。
しかし、ここで冒頭に触れた“一つの妥協点”に言及しなければなりません。それは、ディスプレイの輝度です。
公表されている最大輝度は675ニット。これは、室内や曇りの日であれば全く問題のない数値です。しかし、真夏の炎天下のような、非常に明るい直射日光の下では、画面の視認性が低下する可能性があります。「時間を確認するために、腕に手をかざして影を作る」といった動作が必要になる場面があるかもしれない、ということです。
これが致命的な欠点かと問われれば、多くの人にとってはそうではないでしょう。しかし、常に屋外で活動する方や、どんな状況でも瞬時に情報を確認したいという方にとっては、購入をためらう一因になるかもしれません。CMF Watch 3 Proは、このディスプレイ輝度を抑えることで、驚異的なバッテリー寿命と価格を実現している、と考えるのが妥当です。この「割り切り」を許容できるかどうかが、購入の大きな分かれ道となります。

あなたの健康とワークアウトの、頼れるパートナーとして
CMF Watch 3 Proは、フィットネストラッカーとしても十分な能力を備えています。
ランニングやサイクリング、ウォーキングといった人気のワークアウトは自動で認識し、記録を開始。手動で選択できるスポーツモードは、実に131種類に及びます。日々の歩数や消費カロリーの計測はもちろん、心拍数や血中酸素飽和度(SpO2)をモニタリングするセンサーも搭載。水分補給や長時間座り続けた際の運動を促すリマインダー機能も、健康意識を高めるのに役立ちます。
ただし、搭載センサーは心拍とSpO2に絞られており、Apple Watchなどが搭載する心電図(ECG)や皮膚温測定といった高度な機能はありません。あくまで日々のライトな健康管理やフィットネスの記録を目的としたデバイスであり、本格的なアスリートや医療レベルのデータを求める方向けではない、というポジショニングは明確です。

【まとめ】
CMF Watch 3 Proは、スマートウォッチ市場に投じられた、強烈なメッセージです。「本当に必要な機能だけを、最高のコストパフォーマンスで」。その哲学は、製品の隅々にまで貫かれています。
内蔵GPS、最大60日間のバッテリー、質感の高いメタルケース、そして通話機能。これだけの価値を、わずか79ドルという価格でパッケージングした手腕は見事としか言いようがありません。
その一方で、直射日光下での視認性に懸念が残るディスプレイ輝度という、明確な「割り切り」も存在します。この一点をどう評価するかが、この時計の価値を決定づけるでしょう。
最後に、この革命的なスマートウォッチが、どのような人に最も響くのかをまとめて締めくくりたいと思います。

【CMF Watch 3 Proを“今すぐ買うべき”人】
- とにかくスマートウォッチの毎日の充電から解放されたいと強く願っている方。
- ランニングやウォーキングの記録のために、スマートフォンを持たずに身軽に出かけたい方。
- スマートウォッチに多機能は求めないが、安っぽく見えるデザインは絶対に嫌だという方。
- コストを最優先しつつ、スマートウォッチというものを初めて試してみたいと考えている方。
【他の選択肢を検討すべき人】
- 仕事や趣味で、炎天下など屋外での活動が多く、時計の視認性を最重要視する方。
- 心電図や皮膚温測定など、より高度で詳細な健康モニタリング機能を必要としている方。
CMF Watch 3 Proは、全ての人にとって完璧なスマートウォッチではないかもしれません。しかし、多くの人が抱える「スマートウォッチ疲れ」という課題に対して、これほど明快で魅力的な答えを提示した製品は、これまで存在しませんでした。

Source:Nothing