レノボが放つ次世代ウェアラブル!オンデバイスAIを実現するスマートグラス「Lecoo Fighter G1」が、私たちの日常をどう変えるのか?
2025年5月、PCやスマートデバイスでお馴染みのレノボ(Lenovo)が、ウェアラブル市場に新たな一石を投じる新型スマートグラス「Lecoo Fighter G1」を発表しました。このデバイスは、単に情報を表示するだけでなく、グラス上で高度なAI機能を実現することを大きな特徴としており、私たちの働き方やコミュニケーションのあり方に変革をもたらす可能性を秘めています。
その心臓部には、Qualcommが次世代スマートグラス向けに開発した「Snapdragon AR1」プロセッサを搭載。これにより、翻訳、画像認識、対話支援といったAI機能が、スマートフォンなどの母艦デバイスに大きく依存することなく、グラス単体でよりスムーズに動作することが期待されます。
この記事では、発表されたばかりのLenovo Lecoo Fighter G1のスペック、搭載されているAI技術、デザイン、そして気になる価格や販売情報について、現時点で明らかになっている情報を紹介します。
そういえば、ちょっと前にRay-Banのスマートグラス『Ray-Ban Meta Wayfarer』が発売されていましたよね。


レノボがウェアラブル市場に本格参入か?「Lecoo Fighter G1」の衝撃

image:Notebookcheck
レノボといえば、PC市場における巨人であり、近年ではスマートフォンやタブレット、さらにはスマートホームデバイスなど、多岐にわたる製品ポートフォリオを展開しています。そんな同社が、今回「Lecoo Fighter G1」というスマートグラスを発表したことは、ウェアラブルデバイス市場、特にAR(拡張現実)グラス分野への本格的なコミットメントを示唆しているのかもしれません。
スマートグラスは、これまでも様々なメーカーから登場してきましたが、バッテリー持続時間、装着感、そして何よりも「キラーコンテンツ」の不在など、多くの課題を抱えていました。Lecoo Fighter G1は、これらの課題に対し、最新のSoCとAI技術でどのようにアプローチしているのか、注目が集まります。
オンデバイスAIの鍵を握る「Snapdragon AR1」プロセッサ

Lecoo Fighter G1のパフォーマンスとAI機能の中核を担うのが、Qualcommが2023年後半に発表した「Snapdragon AR1」プラットフォームです。このSoCは、MR(複合現実)機能を備えた次世代スマートグラス向けに特別に設計されており、主な特徴として以下の点が挙げられます。
- 第3世代Hexagon NPU(Neural Processing Unit)搭載
高度なAI処理を低消費電力で実行するための専用プロセッサ。これにより、クラウドを介さずにグラス上で直接AI機能(オンデバイスAI)を実行することが可能になります。 - MR(複合現実)機能のサポート
現実世界の情報とデジタル情報をシームレスに融合させるための基盤技術を提供。
Snapdragon AR1の搭載により、Lecoo Fighter G1は、これまで以上にインテリジェントで、応答性の高いユーザー体験を提供することが期待されます。ネットワーク接続が不安定な環境でもAI機能が利用できる点は、大きなアドバンテージとなるでしょう。
レノボ独自のAIシステム「Tianxiスーパーインテリジェンス」が実現する未来体験
Lecoo Fighter G1には、レノボが「Tianxiスーパーインテリジェンス」と呼ぶ独自のシステムが搭載されています。これは、グラスという形態に最適化されたマルチモーダルAIアシスタントであり、ユーザーの視覚情報や音声入力を統合的に処理し、様々なサポートを提供します。
具体的に発表されている主なAI機能は以下の通りです。
- AI翻訳
外国語のテキストや会話をリアルタイムで翻訳し、グラス上に表示。海外旅行や国際的なビジネスシーンでのコミュニケーションを円滑にします。 - 画像認識機能
目に見える物体や文字、風景などを認識し、関連情報を提供。例えば、植物の名前を調べたり、看板の文字を読み取って情報にアクセスしたりすることが可能になります。 - AI対話強化機能
周囲の音声からユーザーの声をクリアに拾い上げ、オンライン会議などでのコミュニケーションをサポート。また、会話の流れを理解し、適切な情報提示を行うなど、より高度な対話支援も期待されます。
これらのAI機能を支えるカメラとして、Lecoo Fighter G1にはソニー製のIMX681イメージセンサーが搭載されています。このセンサーはDNN(ディープニューラルネットワーク)処理をサポートしており、高画質な画像・動画撮影はもちろんのこと、AIによる画像解析の精度向上にも貢献します。
日常使いを意識した軽量設計と実用的なスペック

スマートグラスが普及するための重要な要素の一つが、装着感とバッテリー持続時間です。Lecoo Fighter G1は、これらの点にも配慮した設計がなされています。
- デザインと重量
ハーフフレームデザインを採用し、重量はわずか38グラムと非常に軽量です。これにより、長時間の装着でも負担になりにくく、日常的に使いやすいデザインを目指しています。レノボは、この軽量設計でありながら、日常的な酷使にも耐えうる十分な耐久性を備えていると主張しています。 - バッテリー
システム全体に電力を供給するのは173mAhのバッテリーです。レノボによると、この容量で約4時間のヘビーユースに対応できるとのこと。一日の活動を全てカバーするには心許ないかもしれませんが、特定のタスクや用途に絞れば十分な駆動時間と言えるかもしれません。参考情報として、コンパクトなINIU 22.5W 10KパワーバンクがAmazonで現在20.95ドルで販売されているとの記載もあり、モバイルバッテリーとの併用も視野に入るでしょう。
38グラムという軽さは特筆すべき点で、メガネとしての自然なかけ心地にどこまで近づけているのか、実機に触れる機会が待たれます。
シームレスな接続とクリアな音声入力
現代のウェアラブルデバイスにとって、他のデバイスとの連携やクリアな音声インタラクションは不可欠です。Lecoo Fighter G1は、この点においても最新の技術を搭載しています。
- 接続性
Bluetooth 5.3とWi-Fi 6をサポート。これにより、スマートフォンやPCなど、複数のデバイスとの低遅延かつ安定した接続が可能です。 - オーディオ機能
5つのマイクアレイを搭載しており、周囲のノイズを効果的に低減し、ユーザーの声を正確に捉えることができます。また、音声ウェイクアップ機能(特定の言葉でデバイスを起動する機能)や、通話時のエコー除去機能も備えており、ハンズフリーでの快適な音声操作やコミュニケーションを実現します。
これらの機能により、騒がしい環境下でもストレスなくAIアシスタントを利用したり、クリアな音声で通話したりすることが期待できます。

気になる価格と入手方法、中国での先行販売がスタート
現在、レノボはLecoo Fighter G1の予約注文を中国国内で受け付けています。
中国での先行販売価格: 1,999元(2025年5月現在のレートで約277米ドル、日本円で約43,000円程度に相当)
この価格は、搭載されている技術や機能を考慮すると、比較的手に取りやすい設定と言えるかもしれません。しかし、残念ながら、レノボは現時点では世界各国での具体的な発売時期や価格については発表していません。
日本を含むグローバル市場での展開がいつになるのか、そしてその際の価格設定がどうなるのか、そもそも日本で発売するのか?
【まとめ】
レノボが発表した新型スマートグラス「Lecoo Fighter G1」は、Snapdragon AR1という強力なSoCと、オンデバイスで動作する「Tianxiスーパーインテリジェンス」という独自のAIシステムを組み合わせることで、これまでのスマートグラスの概念を一歩推し進める可能性を秘めたデバイスです。
Lecoo Fighter G1の注目ポイント
- Snapdragon AR1搭載による高度なオンデバイスAI処理
- AI翻訳、画像認識、AI対話強化といった実用的なAI機能
- 38グラムという超軽量設計と日常的な耐久性
- 最新の通信規格と高性能マイクアレイによる快適な連携・操作性
- 中国での先行販売価格1,999元という戦略的な価格設定
もちろん、スマートグラスという製品カテゴリー自体が、まだ発展途上にあり、Lecoo Fighter G1が全てのユーザーにとって完璧なデバイスであるとは限りません。バッテリー持続時間や、実際にどのようなアプリやユースケースで真価を発揮するのかなど、未知数な部分も多く残されています。
しかし、AI技術が急速に進化し、私たちの生活のあらゆる側面に浸透しつつある現代において、Lecoo Fighter G1のようなデバイスが登場することは、非常にエキサイティングな出来事です。メガネという日常的なアイテムに高度な知能が宿ることで、私たちの情報収集の方法、コミュニケーションのあり方、そして世界との関わり方が、根本から変わっていくかもしれません。
実際、スマートグラスが一般化するにはまだまだ敷居が高いですし、正直必須ガジェットにはなり得ないところがありますよね。しかし、ここらでAppleがスマートグラスを発表すれば、まだワンチャンあるのかもしれませんね。
