スマートフォンの歴史を塗り替えてきたAppleが、次なる一手として「折りたたみiPhone」を水面下で着々と準備している。そんな噂が、ついに現実味を帯びてきました。
台湾メディアDigiTimesが報じた情報によると、Apple初の折りたたみ式iPhone、通称『iPhone Fold』が2026年後半の発表を目標に、具体的な開発フェーズに移行したというのです。それは、Appleが描く未来のデバイス体験の序章に過ぎません。
しかし、その影で「iPad Fold」の開発が一時停止されたというニュースも飛び込んできました。なぜ、iPadではなくiPhoneなのか?そこには、Appleの緻密な戦略と、私たちがまだ見ぬ新しいデバイスの姿が隠されています。
この記事では、リークされた情報を基に、iPhone Foldが私たちの日常をどう変えるのか、そしてAppleがこのタイミングで折りたたみ市場に参入する真の意図を、深く、そして多角的に考察していきます。
記事の内容を音声で聞きたい方はこちら↓


『iPhone Fold』と『iPad Fold』の最新情報まとめ

静かに、しかし着実に。iPhone Fold開発内容が明らかに
これまで幾度となく噂されては消えてきた折りたたみiPhone。しかし、今回の情報はこれまでの憶測とは一線を画します。サプライチェーンから漏れ伝わってきたその内容は、驚くほど具体的です。
情報によると、Appleは2025年6月、つまり来年の夏には最初のプロトタイプである「P1」段階を開始するとのこと。これは、製品化に向けた壮大なプロジェクトが、設計図の段階を終え、いよいよ現実の「モノ」として形作られる第一歩を踏み出すことを意味します。
製品開発の心臓部とも言えるこのプロセスは、Appleの厳格なタイムラインに沿って進められます。
- プロトタイプフェーズ(P1, P2, P3)
2025年6月から約半年間。ここでデバイスの基本的な機能やデザインの検証が集中的に行われます。各フェーズは約2ヶ月間とされ、サプライチェーンのパートナーと共に、課題の洗い出しと改良が繰り返されます。 - 技術検証テスト(EVT)
2025年末に試作テストを完了後、この段階へ移行。設計が技術的に実現可能か、そして安定して動作するかを厳密にテストします。ちなみに、2025年秋に登場するであろうiPhone 17シリーズは、2025年の第2四半期にこのEVTを完了したとされており、iPhone Foldも同様の道を辿ることになります。 - 設計検証テスト(DVT)と量産(MP)
EVTをクリアすると、最終的なデザインを固め、量産に向けた準備へと進みます。これら一連のプロセスは、製品発表の約1年前から始まるのがAppleの通例です。
逆算すると、2026年後半という発売スケジュールは、極めて信憑性の高いものと言えるでしょう。おそらく、iPhone 18シリーズと共に、Appleの歴史に新たな1ページを刻む「One more thing…」として発表されるのかもしれません。
なぜiPad Foldは消えたのか?Appleの緻密な市場戦略

一方で、多くの人が期待していたであろう「折りたたみiPad」の開発は、一時停止されたと報じられています。その背景には、いくつかの現実的な課題が横たわっています。
- 製造上のハードルとコスト
大画面になればなるほど、フレキシブルディスプレイの製造は困難を極め、コストも跳ね上がります。歩留まり(生産数に対する良品の割合)の悪さは、そのまま製品価格に反映され、あまりにも高価なデバイスは市場に受け入れられません。 - 需要の不透明さ
現状の折りたたみスマートフォン市場は、まだ黎明期を脱したばかり。「タブレットにもなるスマートフォン」というコンセプトは魅力的ですが、「折りたためる大型タブレット」にどれほどの需要があるのか、Appleは慎重に見極めているのでしょう。
しかし、これは単なる「断念」ではありません。むしろ、Appleの巧みな戦略が見え隠れします。
Appleは常に、新しいテクノロジーを最初に市場に投入する企業ではありません。他社の製品が出揃い、市場の課題やユーザーのニーズが明確になった段階で、完成度の高い「Appleならではの体験」と共に登場し、市場を席巻してきました。
今回、よりパーソナルで毎日持ち歩く「iPhone」というデバイスで最初に折りたたみを投入することは、理にかなっています。スマートフォンの買い替えサイクルの中で、新しい体験をより多くのユーザーに届けられる可能性が高いからです。
iPad Foldは、iPhone Foldで培った技術と市場からのフィードバックを元に、満を持して登場する未来のデバイスとして、その座を一時的に譲ったのかもしれません。
iPhone Foldはどんな姿? miniとminiが融合する究極のデバイス

では、私たちが手にするであろうiPhone Foldは、一体どのようなデバイスになるのでしょうか。リークされた情報から、その魅力的な姿を想像してみましょう。
- デザインベース
デザインの基礎となるのは、2025年モデルとして噂される「iPhone 17 Air」。その名の通り、極限までの薄さを追求したモデルになると言われており、iPhone Foldもその思想を受け継ぎ、折りたたんだ状態でも分厚さを感じさせない、洗練されたデバイスになることが期待されます。 - 画面サイズ:
- 折りたたみ時:5.4インチ
- 展開時:7.6インチ
この数字を見て、ピンと来た方も多いのではないでしょうか。5.4インチは、惜しまれつつも姿を消した「iPhone mini」を彷彿とさせるサイズ感です。コンパクトで片手操作がしやすい、あの快適さが蘇るかもしれません。
そして、デバイスを開けば、そこには7.6インチの広大なスクリーンが広がります。これは、奇しくも「iPad mini」に非常に近いサイズです。
つまり、iPhone Foldは「iPhone miniの携帯性と、iPad miniの閲覧性を一台で実現するデバイス」となる可能性を秘めているのです。ポケットにはiPhone miniが、そして必要な時にはiPad miniが現れる。これは、まさに両デバイスのファンが夢見た究極の形と言えるでしょう。
「折り目が見えない」は本当か?Appleの技術力が問われる瞬間

折りたたみデバイスの永遠の課題、それは画面中央に現れる「折り目」です。どんなに素晴らしい体験も、この一本の線によって没入感が削がれてしまうのは事実。
しかし、今回の情報で最も心を躍らせるものの一つが、「AppleはFoldの画面に目に見えないヒンジと折り目をつけることに成功した」という一文です。
これが事実であれば、他社製品に対する圧倒的なアドバンテージとなります。Appleが特許を多数出願していることからも、ヒンジ機構やディスプレイ技術に並々ならぬこだわりを持っていることは間違いありません。
水滴型ヒンジの改良版や、特殊なガラス素材の採用など、Appleがどのような魔法を使って折り目を消し去るのか、技術的な詳細が明らかになる日が待ち遠しくてたまりません。

【まとめ】
今回リークされた「iPhone Fold」に関する一連の情報は、単なるスペックの羅列ではなく、Appleが次に描くユーザー体験の未来図を指し示しているように感じられます。
それは、デバイスの境界線を曖昧にし、「携帯性」と「大画面」という、これまでトレードオフの関係にあった二つの価値を、一台でシームレスに提供するという壮大な挑戦です。iPhone miniの軽快さを愛し、iPad miniの没入感を好むユーザーにとって、これ以上ない贈り物となるでしょう。
iPad Foldの一時停止というニュースは、一見するとネガティブに聞こえるかもしれません。しかし、それはむしろ、Appleが最初の折りたたみ製品にどれだけ慎重で、そして完璧を期しているかの裏返しです。
まずは最も身近なiPhoneで市場を確立し、ユーザーを教育し、そして技術を成熟させる。その先に見据えるのが、iPadや、もしかしたらMacBookといった、さらなる大画面デバイスの未来なのでしょう。
2026年、私たちはただの「折りたためるiPhone」を手にするのではありません。Appleが長年培ってきたハードウェアとソフトウェアの融合、そして「ユーザー体験こそがすべて」という哲学が結晶化した、全く新しいカテゴリーのデバイスを手にすることになるのです。
全然関係ないけど、iPhone SE3の整備品なのに全く安くなる気配がありませんね…なぜ?まだ需要あるの?
